トランプは討論会で危機回避に成功するも、党の懸念は緩和できず
<共和党陣営の懸念>
同ビデオが公開されてから、共和党全国委員会は、この問題への対処法について地方の党当局者に何も助言を行っていない。
共和党内部では、トランプ氏に割り当てている資金を、今回の反発を受け、危機的状況に直面するかもしれない同党の上院・下院議員候補を支援するために回すことを検討する議論が活発化している。
「トランプ氏と完全に手を切り、共和党が支配する議会を維持することに重点を置くにはとうに時間が過ぎている」と、同党のベテラン戦略家であるジョン・ウィーバー氏は述べた。
共和党当局者はまた、別の心配事も抱えている。トランプ氏の不人気が、多くの共和党有権者を投票日に家にとどまらせるリスクがある。
こうした騒ぎや非難を背景に、トランプ氏は共和党陣営をまとめるため、9日の討論会でクリントン氏に挑発的な攻撃を新たに浴びせ続けた。
トランプ氏は、メディアに自身のわいせつ発言以外のネタを提供すべく、クリントン氏が国務長官時代に行った外交政策を激しく批判したほか、議論の応酬のなかでクリントン氏を刑務所に入れるとさえ語り、巻き返しを図った。また、ビル・クリントン氏の性遍歴を問題化するとの脅しを実行に移した。
このように攻撃することで、トランプ氏は傷口を止血できたかもしれないが、懸念を消すことは全くできなかった。
(James Oliphant記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)