北朝鮮の体制崩壊目指し新たな資本主義者育てる「秘密地下ルート」
9月29日、核実験を強行した北朝鮮に対し、米国をはじめとする国々が新たな制裁措置を検討するなか、一部の脱北者は、未発達な同国市場経済に投資することで、内側からの体制変化を促すことが可能だと考えている。写真は中国遼寧省丹東市の土産店で北朝鮮紙幣として飾られたお札。11日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)
核実験を強行した北朝鮮に対し、米国をはじめとする国々が新たな制裁措置を検討するなか、一部の脱北者は、未発達な同国市場経済に投資することで、内側からの体制変化を促すことが可能だと考えている。
韓国に住む脱北者の男性は、数十人の北朝鮮市民がラーメン店や食料品店といった零細事業を立ち上げる手助けをするため、秘密の資金経路を利用して数十万ドルを送金している。
男性は昨年、北朝鮮の起業家3人に、電圧12ボルトの太陽光パネルで充電可能な中国製LED電気スタンドを3000台以上送った。2000年代初頭に中国経由で脱北したこの男性は、鍼灸針やハンドバック、毛髪染剤、ビタミン剤、女性用肌着類も、安価で購入もしくは寄付によって無料で入手し、北朝鮮に送っている。
金正恩政権の下、北朝鮮は国内で増加する「ジャンマダン」と呼ばれる半合法的な自由市場を認めてきた。そこでは個人や卸売業者が自身で製造、または中国から輸入した物品を売買している。
この市場は人々の生活水準を向上させただけでなく、旧ソビエト連邦型の計画経済に対する依存度を下げることで、国の影響力を弱めてきた。また、USBメモリーやDVDを使った、禁制品となっている海外メディアのコンテンツ取引も促進している。
「私が支援する北朝鮮の事業主らは、健全な資本主義を構築するための新しい集団となり得るだろう」と、この40代の脱北男性は語る。北朝鮮に残した妻と自身の安全のため、実名は明かさなかった。
営利目的ではないとするこの男性は、地方にある食料品店数店に2万─3万人民元(約30万3000円─45万4000円)を投資しており、さらに多額の投資を平壌で行っている。