メール問題、FBIはクリントンの足を引っ張ったのか?
新たなメールが見つかったのには、アベディンのメール管理のあり方が災いした。彼女は4つのメールアカウントを使用していた。1つ目は機密扱いではない国務省のアカウント、2つ目はクリントンの私用メールアドレス、3つ目はYahooだ。そして4つ目がウィーナーのメールアドレスに関連するもので、捜査記録によると、彼女は元夫が下院選に立候補した際に選挙活動を支援する目的で使用した。クリントンが公務にも私用サーバーを使用していたことを把握していなかったアベディンは、4月のFBIによる事情聴取の中で、私用アカウントを使用したのはクリントンの友人とのやり取りなど個人的な事柄に限っていたと説明した。公務に関する連絡は、国務省が割り当てたメールアカウントを主に使用していた。
クリントンはメールを電子端末の画面上より印刷して紙で読む方を好んだため、本文や添付ファイルを印刷して外交文書用郵袋で外交保安局のエージェントが彼女の事務所か自宅に届けていた。一方、アベディンは多くの国務省職員と同様、省内のネットワークの使い勝手が悪いと感じており、大量の文書を印刷するのに手間取っていた。そのため時折、送受信したメールを国務省のメールアカウントからYahooかクリントンの私用サーバーへ転送し、そこから印刷していた。
側近がクリントンの窓口に
アベディンはクリントンが目を通す必要がありそうなメールを受信するか、クリントンが印刷用にメールを転送してきた場合にも、基本的にこの方法で対処した。FBIの捜査官にも、大量のメールを読まずに印刷することが多かったと証言した。その理由の一つは、国務省の職員らがアベディンをクリントンに通じる「窓口」だとみなし、クリントンに見てほしいメールがあればとりあえず彼女に送っていたためだと、捜査記録に記されている。可能性としてはこの過程で、クリントンの機密メールがやりとりされたかもしれない。
政府関係者は、アベディンが印刷用にメールを転送していたことが、ウィーナーの事件で押収されたパソコンで新たなメールが見つかる結果を招いたと話す。アベディンが問題のパソコンを使って、クリントンとメールを送受信していた証拠はある。ただしその中にFBIの捜査対象になったメールは一つもない。
FBIは日曜、新たに発見した電子メールの捜査令状を取得した。捜査対象になったメールが機密文書に相当しなければ、訴追は免れる。ただし、この時点で捜査が始まるだけでも、選挙戦を優位に進めていたクリントンにとっては大打撃だ。