帝政ロシアから独立100年のフィンランド、プーチンの横やり警戒
フィンランド政府は、司法手続きのため個々の案件にはコメントできないとしたうえで、このような報道を否定した。だが過去数週間にわたり、この話はロシアで何度も伝えられている。
ロシアのNTVテレビは「フィンランド市民でさえ、自国を子どもを恐怖に陥れる非情で理不尽な国と呼んでいる」と伝えた。
歴史的人物も標的に
マンティラ氏は、自身が率いるネットワークが数年前から、フィンランドに対する明らかな情報活動を約20件確認していることを明らかにした。また、「可能性が非常に高い」ケースも約30件あるという。
「組織だった偽りのキャンペーンが行われている。悪いジャーナリズムという問題ではない。中央が支配しているとみている」と同氏は語る。
ロシア大統領府と同外務省当局者からコメントは得られていない。
フィンランドのソイニ外相も、プロパガンダとみられるそうしたロシアの活動を認め、政府は事実に対する誤った情報に反論しているとし、「あらゆる国がプロパガンダに関与するが、独裁国家であればなおさらだ」と語った。
なかには、フィンランドの独立やその歴史的人物に狙いを定めたものもある。
ロシアのサンクトペテルブルクにある大学で6月、フィンランドの最も有名な軍人であり、元大統領でもあるカール・グスタフ・マンネルへイムの記念銘板が掲げられた。
するとその銘板はすぐさま、フィンランドではソ連との戦いのシンボルと見られているマンネルへイムを、人殺しで冷酷なナチス・ドイツの協力者とみなして抗議する人たちの標的となった。
「銘板は何度もおのでたたかれ、赤ペンキを浴びせられた」とマンティラ氏。そもそもマンネルへイムの銘板を掲げるというプロジェクトにフィンランドは関わっていないという。
この出来事は、ソ連の初代指導者レーニン率いるボリシェビキ政権がフィンランドの独立を受け入れる権利のないことを示唆する報道を受けて起きたと、マンティラ氏は考えている。
フィンランドは来年、独立100周年を迎える。それはまた、ボリシェビキ革命(十月革命)の記念日でもある。
(Jussi Rosendahl記者、Tuomas Forsell記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)