警備ロボは人を守ってくれる? 突き飛ばし事故から懸念される安全性
緊急時にロボットを使うべき?
安全に関わる場面でのロボットの活用については、幅広く利用が始まる前に考慮されなければならない点がある。
Georgia Tech Researchが今年始めにおこなった調査では、人はロボットを緊急時に頼りにしすぎるということがわかった。建物火災の避難訓練において、ロボットの指示は信頼性に欠けるということを事前に知らせたうえで、訓練中に「ロボットが故障した」と告げられた参加者が複数名いたにもかかわらず、訓練に参加した人々はその「緊急誘導ロボット」の指示に従った。
エンジニアのポール・ロビネット氏は次のように言う。
「ロボットの指示が頼りにならないと告げられれば、非常訓練において人々がロボットに従うことはないだろうと思っていた。しかし、これまでの出来不出来にかかわらず、参加者全員がその指示に従ったのだ。思ってもみないことだった」
ロビネット氏らの研究者たちは、対象となったこの訓練で、ロボットは非常事態のプレッシャーにさらされる状況下において信用されやすくなる「権威の象徴」になったのだろうと推測する。
また、ダラスで警官5名を殺害、他7名の被害者を出したミカ・ジョンソン氏を最終的に殺害するためにロボットを使って爆弾を爆発させるというシナリオが出たのはここ最近のことだ。ロボットが将来の緊急時に投入されることも十分にあり得る話である。
だが、ロボットによって雇用が失われると考えるのは正しくない。現場のロボットを管理し、データを解析するスキルのあるエンジニアや開発者、運用者という雇用は短期的には生まれる。将来、あらゆるものをコントロールするのはロボットではなく、ロボットのアシスタントを得た我々「人間」だ。