東京五輪まであと4年、「民泊」ルールはどうする?
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<五輪は観光業界にとって期待が大きいが、客室不足になるのは明らか。「民泊」がその穴を埋めると考えられているが、現状、その大半は旅館業法に違反した施設だと思われる。旅館業法は果たして緩和されるのか>
地球の裏側で盛り上がったリオデジャネイロ・オリンピック。7日からはパラリンピックが行われる。次回、2020年の東京五輪に向けて日本の各方面で準備が進められているが、その経済効果は実際どのくらいあるのだろう。
期待が大きい業界のひとつが観光業界だ。経済成長戦略の一環として、日本は「観光立国」を目指すことになった。2006年には観光立国推進基本法も制定された。2020年に4000万人、2030年に6000万人もの外国人観光客を誘致するという、史上空前の数値目標が立てられている。
その受け入れ態勢を整えるため、都内の各地でホテルの建設が急ピッチで進められている。それでも、外国人観光客数の増加には追いつかず、客室が足りなくなることが確実視されている。そこで、個人間の部屋の貸し借りである「民泊」がその不足を補うものと期待が寄せられている。
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持ち家であれ賃貸であれ旅館業法が壁に
日本では相続税の節税対策としてマンションを建てる人がいるため、相続からしばらく経過した物件で空き部屋が多くなっているといわれる。東京などの都市部では、駅から近い空き物件も少なくないため、外国人向けの民泊にはうってつけといえるだろう。
◆民法 第206条(所有権の内容)
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
所有権は絶対である。持ち家であれば「法令の制限内において」自由に「収益」を上げることができる。所有する物件を、民泊に活用することも原則として自由だ。
では、所有権はないが、家賃を払って借りている物件ではどうだろうか。たとえば長期出張などの事情でしばらく住めない部屋を、外国人に一時使用してもらえれば、家賃の支払いを節約できるし、客室不足の解消にも一役買うため、社会全体にもメリットがある。
しかし、賃貸物件では契約書や管理規約で「転貸禁止」が盛り込まれていることが多い。なぜなら、大家(オーナー)は、他でもないあなたを信頼して部屋を貸しているからだ。
◆民法 第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
1 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
つまり、誰が入居するかわからない民泊は、大家と借り手との間の信頼関係を損ね、賃貸借契約違反となるのが原則である。もし、借りている部屋で民泊を行うときは、大家から必ず承諾をとるのが大前提となる。