アブサヤフのテロに激怒、ドゥテルテ大統領がまた殺害容認か
正念場を迎えるドゥテルテ
麻薬犯罪者の殺害容認という強硬策、さらに中国との間に存在する南シナ海の領有権問題など山積する課題に加えて、ドゥテルテ政権は国内のテロ対策、過激組織との対決という難問を改めて突き付けられた形となった今回の爆弾テロ事件。自らの地盤でもある御膝下のダバオで、それも大統領が滞在中を狙った犯行だけに、ドゥテルテの面目は丸つぶれとなった。
国軍・警察によるアブサヤフの大規模壊滅作戦が密かに準備されているようだが、地元メディア関係者によると「(アブサヤフの)メンバー、関係者などで抵抗するものに対しては殺害をためらうな」という指令が出る可能性があるという。そうなると麻薬犯罪者への「殺害容認」と同じことになり、無関係の市民や女性子供までも巻き込む「超法規的殺人が横行する無法状態」がさらに深刻化する危険性をはらんでいる。
9月6日からラオスで始まるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議では南シナ海の中国の派遣問題とともにテロ対策も協議される可能性も出てきている。本格的な外交デビューを飾るドゥテルテ大統領はバラク・オバマ米大統領や安倍晋三首相、ASEAN加盟各国との首脳会談では国際的に批判を浴びている「麻薬問題に対する強硬姿勢」への理解とともに「テロ対策」での意見交換も予想され、国際社会、地域社会をどこまで味方に出来るか、手腕を試される正念場となるだろう。
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