最新記事

ワークプレイス

ABWを徹底的に研究、導入し、満足度の高いオフィスを実現

2016年9月9日(金)16時42分
WORKSIGHT

WORKSIGHT

オーストラリア発、グローバル総合不動産グループ[Goodman]


[課題]  最小限の空間計画によって設計された従来型のオフィス
[施策]  オフィス拡張を機にABWを導入
[成果]  ワーカーの満足度が向上し、より創造的で効率的な仕事場に

 ABW(Activity Based Working)――。オフィスに限らず自由に場所を選択し働くことによってよりクリエイティブな成果を促す仕組みであり、ABWの考え方をオフィス設計に取り入れる企業は多い。シドニーに本拠地を置き、世界各地で事業を展開する総合物流不動産グループのグッドマンも、その一つだ。

 約4年前のこと。グッドマンのオフィスは、事業の成長やスタッフの増員に伴ってレイアウトを随時変更する、いわゆる従来型のオフィスだった。その結果、スタッフの人数に対してミーティングルームやブレイクアウト・スペースが足りないという無計画で非効率的なオフィス・レイアウトになっていた。

 オフィスのリニューアルを決意したCEOのグレゴリー・グッドマン氏は、不足している設備を導入するだけでなく、将来的な事業の成長を見据え、快適かつ柔軟性のあるオフィス空間造りを目指すことに。

 ところが、上がってきた図面は、またしてもワーカーそれぞれに一つのデスクが与えられた、従来型のオフィス・レイアウトだった。しかもその提案には、将来的な事業の拡大、スタッフ間のコラボレーション、様々な作業に対応できる空間の柔軟性が見られなかった。

【参考記事】光と優秀な人材を取り込む「松かさ」型ラボ

ABWによる変化に対応できるかどうかが問題だった

 グッドマン氏のビジョンを実現させるためには、何か斬新な解決策が必要だった。そこで彼らが注目したのが、働き方や仕事内容に合わせて仕事場を選べるABW。「当時、多くの大企業がABWを取り入れ始めていました。そこで私たちはそういった企業を訪問し、ABWに対する理解を深めると共に、オフィスの考え方として当社にふさわしいかどうかを研究しました」と商業開発部門のゼネラル・マネージャーを務めるデビッド・ウィルソン氏(以下、デビッド氏)は振り返る。

 しかし問題があった。ABWの導入に成功した企業はグーグルやアクセンチュアなど、広大なフロア面積を有する大企業ばかり。翻ってグッドマンの新オフィスは約2500平方メートルの予定だった。このような規模でのABWの導入は、前例がない。しかも、ABWによって、ワーカーの働き方は大きく変わることになる。「ABWでは、その日の仕事によってオフィス内から最適な仕事場を選べるわけです。一人一つのデスクを持っていた状況から、誰一人として自分のデスクを持たない状況への変化に対応できるかどうかも大きな課題でした」とデビッド氏は言う。

wsGoodman-1.jpg

(左)商業開発部門のゼネラル・マネージャー、デビッド・ウィルソン氏。(右)シドニー・オフィスのレセプション。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中