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月面基地中国、月に有人基地建設を計画:強力レーダーで地球を観測
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中国政府が、月面に有人レーダー基地を建設する計画を進めている。香港メディアの南華早報(サウスチャイナ・モーニング・ポスト)が8月21日に報じ、米ニューズウィークなど多くの外国メディアも取り上げた。
月面に高さ50mのレーダーアンテナ
報道によると、この政府プロジェクトは今年スタート。すでに中国国家自然科学基金委員会から、事業化調査用の資金1600万元(約2億4000万円)を割り当てられたという。
科学調査と防衛を目的とした基地には、宇宙飛行士用の居住区のほかに、高さ50メートル以上のレーダーアンテナ列が設置される可能性がある。レーダーから放射する強力なマイクロ波により、雲だけでなく地表も貫通して、陸地、海中、地下まで観測できるという。
発案者は3年前に論文発表
プロジェクトのリーダーを務めるのは、中国科学院のレーダー技術専門家、郭華東教授。同教授は3年前、学術誌「中国科学:地球科学」に寄稿した論文で初めて月面レーダー基地を提案した。
論文では、地球を観測するプラットフォームとして、「人工衛星や宇宙ステーションと比較すると、月面基地には安定性や耐久性など多くの利点がある」と主張。月のレーダーで集められたデータは、「異常気象、地球規模の地震活動、農業生産、極地氷冠の融解などさまざまな科学研究課題に役立つ」と記した。
一方で、地球に到達するほどの高強度無線ビームを送出するレーダー基地には、膨大な電力が必要となり、「太陽光または原子力で発電する施設の併設が不可欠」と指摘。また、レーダーによって1秒あたりに生じるデータ容量は1.4ギガバイトで、現在の長距離宇宙通信技術の帯域幅をはるかに超えるものの、「基地に常駐する人員が情報をオンサイトで処理するなら問題ない」と、郭教授は書き添えている。
中国の研究者も懐疑的
この計画に対し、南華早報にコメントを求められた研究者たちは、資金と時間と人材の浪費だとして懐疑的だ。ある中国本土の宇宙科学者は、「常軌を逸したアイデアだ」と酷評。それほど大きな月面基地を建設する費用は、「スパイ衛星で空を埋めつくすより高くつく」と批判した。
いずれにせよ、郭教授のチームは事業化調査の最終レポートを2020年までに提出する予定だ。それまでにプロジェクトが「重要な技術的飛躍」を遂げることを、中国政府は期待している。