英中「黄金時代」に暗雲、中国が投資する英原発計画の承認延期で
「黄金時代」は本当か
英国のキャメロン前首相が策定した計画では、イングランド南部サマセットのヒンクリーC原発に、仏アレバ製の欧州加圧水型炉2基を建設する費用を、フランスの電力公社EDFと中国広核集団が出資することになっていた。
英国はこの発電所で生産される電力の最低買取価格を35年にわたって保証するとしたが、英国政府が合意した価格は高すぎるとの批判もあった。
このヒンクリー原発プロジェクトは、原子力分野における中国との関係強化の最先端として、数百億ドル規模の投資と、さらに2カ所の原子力発電所への中国の参加に向けて道を開くものと考えられていた。
キャメロン前首相が西側諸国に向かう中国からの投資に対して率先して門戸を開放し、ロンドンを人民元にとっての最大のオフショア市場としたことについて、同盟諸国のあいだには懸念する声もあった。
英国では現在、ロンドン証券取引所と上海証券取引所を含む画期的な金融サービス網に関する協定が議論されている。
中国の駐英大使は、FT紙が掲載したコメントのなかで、ヒンクリー原発プロジェクトは「気まぐれなアイデアや性急な判断」ではないとして、中国からの投資が流入するのは、中英両国が「相互に尊敬し信頼している」からであると辛辣に述べた。
「英国の開放性が2国間の協力の条件であるとすれば、相互の信頼こそが、その依って立つ基礎ということになろう」と同大使は言う。
EU離脱となれば、英政府は中国と新たな貿易協定を結ぶ必要が出てくるだろう。中国の経済規模は11兆3000億ドルであり、現時点で、2兆4000億ドルの英国の4倍以上に相当する。
劉大使によれば、中国企業の過去5年間の対英投資額は、ドイツ、フランス、イタリアの3カ国向けの投資を合計したよりも多いという。