イタリア大手銀行モンテ・パスキ再建に早くも黄信号
モンテ・パスキの増資については株式ブローカー、エクイティアが調査ノートで、今の不安定な市場において必要としている全額を調達するのは「ほぼ無理」と予想した。
イタリアの銀行が抱える不良債権額は3600億ユーロと、ユーロ圏全体の3分の1を超える。これが重しになり、イタリア銀行株は今年になって下落している。その上にウニクレディトが近く数十億ユーロの増資に踏み切る見通しで、モンテ・パスキが当てにしている投資家がそちらに流れる可能性がある。
またレンツィ首相が進退をかけている上院の権限縮小を盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票が否決されれば、イタリア市場への見方が一段と悲観的になりかねない。
転換点はまだ先
モンテ・パスキの不良債権証券化は、シニア債となる60億ユーロに政府保証が付与される予定で、メザニン債16億ユーロは民間出資の銀行救済基金「アトランテ」が買い取る。残りの最もリスクが大きいジュニア債は既存株主に売られる。
ただしシニア債が、政府保証確保に必要な投資適格級格付けをすべて得られるかはっきりしていない。事情に詳しい関係者は、ブレグジット(英の欧州連合離脱)問題で経済の先行き不透明感が漂う中で、裏付け債権の価値を格付け会社が評価する必要があるため、結論が出るまでには1年はかかるだろうと話した。
LCマクロのチーフエコノミスト、ロレンツォ・コドーニョ氏は「60億ユーロのシニア債の一部は投資適格級とならず、売却が困難になる」と予想した。
コドーニョ氏によると、イタリアの銀行問題は解決に向けた道のりを歩み続けているものの、本格的に事態が好転する地点にはまだ達していないという。
(Silvia Aloisi、Valentina Za記者)