中国、杭州G20会議の脱線を警戒 経済大国としての立場確立狙う
8月29日、中国は9月4、5日に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で世界の経済成長を中心議題に据え、経済大国としての地位を確立したい意向だが、西側諸国が領土問題などを持ち出して会議を脱線させることを警戒感している。写真は米国のライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の到着を待つ習近平国家主席。北京の人民大会堂で7月撮影(2016年 ロイター/How Hwee Young)
中国は9月4、5日に杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で世界の経済成長を中心議題に据え、経済大国としての地位を確立したい意向だが、西側諸国が領土問題などを持ち出して会議を脱線させることを警戒している。
習近平・国家主席にとって、そうした事態の回避が至上命題の1つであり、首脳会議の成功度合いを測る重要な尺度となりそうだ。
G20を前に中国高官らと会話した西側の外交筋によると、南シナ海問題や韓国に配備される最新鋭の米ミサイル迎撃システムなどで話題はもちきりだった。「中国の視点からは、米国が彼らを包囲しているように見えている」と述べた。
習国家主席は国内に向け、南シナ海問題などに対する西側諸国からの批判に毅然とした態度で立ち向かう姿勢を示す必要がある。
国営メディアは首脳会議について、世界的なガバナンス(統治)ルールの確立や持続的な世界経済成長に向け、中国が指導力を発揮する舞台だとはやしている。人民日報は今回の首脳会議がG20史上、最も実り多い会合の1つになる可能性があると報じた。
共産党の幹部教育機関、中央党学校の機関紙「学習時報」は8月半ば、台頭する中国を西側諸国が意図的に排除し、米国主導の環太平洋連携協定(TPP)などによって国際舞台での中国の発言力を否定しようとしている、との見方を伝えた。
「彼らは新たな『神聖なる同盟』を結成し、新たなルールを確立しようと躍起になっている。新たなルールから中国は排除される」と学習時報は論じている。
英豪に憤慨
中国は最近、英国とオーストラリアに対する投資を両国から拒否され、憤慨している。
オーストラリアは電力公社オースグリッドの中国企業への売却を阻止する予備決定を下した。英国は中国が投資したヒンクリー・ポイント原発計画を延期した。