東京五輪まであと4年、ウエアラブルはアスリートに新記録をもたらすか?
ちなみに、MLBでは ZephyrバイオハーネスとMotusの肘当を使うことで、コーチやドクターが細かなパフォーマンス分析などを行っている。コーチは練習中のパフォーマンス不足に気づいたらすぐ改善策を考えることができるし、ドクターは大きな試合の前に健康上の問題に対処することができる。
ウエアラブル導入に慎重なプロスポーツ
もっとも殆どのアメリカスポーツ業界では、ウエアラブルは採用するものの受け入れる速度は緩やかなものである。コーチが選手をベンチ入りさせたり、チームから追い出すためにウエアラブルでの分析結果を使用することが懸念されており、労働組合もウエアラブルの採用を延期している。
Lux Researchは多くのアスリートやコーチに対して、ウエアラブル製品について話を聞いた。HTCとUnder ArmourのHealthBox、Xmetricsの水泳用ウエアラブル、Vertのウエアラブルクリップである。
HealthBoxについては、「アスリートのパーソナルトレーナーの代わりにするためには、より高度な指導的要素が必要だ」と答えている。また、Xmetricsは測っているものがわかりづらく、Vertについては、怪我を避けるためのアラートやリコメンデーションの機能を備えるべきだと答えている。
上記のような、ウエアラブルにおけるアドバイス・指導機能がないことや分析レベルの低さの理由の一つとして考えられることは、主にその機能のもとになる情報が規制されているからであろう。FDA(米国食品医薬品局)は医療の分野に踏み込もうとするウエアラブルに対して厳しい態度をとっており、AppleもFDA にApple Watchの 認可申請を提出した際、あっさり却下されたことからこのことに気づいたという。
より優れた分析とアドバイスをアスリートたちに提供するためには、米国および外国の規制当局がウエアラブルおよび従来のヘルスケア市場にはなかったものに対し、もっとオープンにならなければならないだろう。2020年の東京オリンピックでは、その活用が進んでいる国と進んでいない国とで大きな差が生まれるかもしれない。