最新記事

中国政治

中共建党記念・習演説にVOAがぶつける――「日本軍と共謀した毛沢東」特集番組

2016年7月4日(月)16時35分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

7月1日、人民大会堂で開催された中国共産党建党95周年記念大会 Kim Kyung-Hoon-REUTERS

 7月1日、習総書記は中共建党95周年のスピーチで「中共が日本軍を打ち負かした」としたが、同日アメリカのVOA(ボイス・オブ・アメリカ)中文テレビは「日中戦争中、日本軍と共謀していた毛沢東」を特集し、中国大陸のネットユーザーに呼びかけた。

中共建党記念日にぶつけたVOA中文テレビ特集番組

 中国には8800万人の党員がおり、440万個以上の党組織がある。それは440万人以上の党組織の長である党書記がいることを意味する。改革開放以来、特に江沢民政権以来、党書記の周りには底なしの腐敗が生まれてきたので、その腐敗を撲滅しなければ中国共産党の統治は終わりを告げるのは明らかだ。

 事実、今年7月1日、北京の人民大会堂で開催された建党95周年記念大会においても、習近平総書記は「党にとっての最大の脅威は腐敗である」として「腐敗を始めとした人民の不満を解決しなければ、われわれの党は遅かれ早かれ、いずれ執政党としての資格を失い、歴史から淘汰されていくであろう」と述べている。

 このような党の求心力が低下し滅亡の危機にさらされている中、一党支配の正当性と合法性を強調するには、どうしても「抗日戦争中、日本軍と勇猛果敢に戦ったのは中国共産党軍である」「だからこそ、こんにちの繁栄がある」という「虚構の神話」を捏造し続けなければならない。

 そのために昨年の抗日戦争勝利70周年記念では軍事パレードも行ったし、「抗日戦争における"中流砥柱(しちゅう)"(大黒柱。大局を支えて毅然として動かない集団)は中国共産党軍であった」と叫び続けた。

 そして今年の建党95周年記念大会においても、習近平総書記は「日本帝国主義を敗退に追いやったのは中国共産党である」という虚構を強調したのである。

 7月1日(6月30日深夜)、アメリカのVOA(Voice of America)中文テレビは、中国共産党の建党95周年記念にぶつける形で、「日中戦争中、毛沢東は日本軍と共謀していた」という特集番組を報道した」という特集番組を報道した。

 拙著『毛沢東 日本軍の共謀した男』が6月中旬にニューヨークにあるMirror Media Group(明鏡集団)から 中国語で出版されたことは、6月23日付の本コラム「日本軍と共謀した毛沢東を、中国人はどう受け止めたか?」でご紹介したが、熱狂的な反響があったとのことで、今度は1時間の生放送番組が特集されたわけだ。

 ワシントンとの時差は11時間。真夜中でもあるし、Skypeを使える環境にもなかったので、ゲストとして呼ばれた筆者は、携帯電話を通して、その番組に生出演することとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、レバノン北部のシリア国境を初空爆 輸送

ワールド

停戦合意発効、おおむね順守 レバノン南部に避難者戻

ビジネス

仏国債スプレッド、ユーロ圏債務危機以来の幅に拡大 

ビジネス

ECB、漸進的に中立金利まで向かうべき=シュナーベ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 5
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 6
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 7
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 8
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 9
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 10
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中