不安なイギリスを導く似て非なる女性リーダー
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<イギリス史上2人目の女性首相になったメイには、先達のサッチャーとの共通点もあれば対照的な面もある>(同じ保守党で同じ中産階級出身のメイ〔左〕はサッチャーと比較されがち)
1975年、保守党右派の大物キース・ジョセフが党首選で、当時の党首エドワード・ヒースへの挑戦を断念した。そのとき党内右派の盟友だったマーガレット・サッチャーは、出馬を決意した。「私たちの陣営から誰かが出なければならない。あなたが出ないなら、私が出る」
その後、サッチャーはイギリス初の女性首相となる。第二次大戦後のイギリスで、最も存在感のあった首相かもしれない。
そして今、テリーザ・メイがイギリスで2人目の女性首相となった。性差別的と言われても、やはり両者を比べたくなる。
今もイギリス政治では階級がものをいう。サッチャーとメイはグラマースクール(名門公立校)の出身だ。私立エリート校出身者が牛耳る保守党では、いわば挑戦者。共に「中流の星」であり、選挙のカギを握る中流の価値観を体現する存在だ。
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2人とも内閣の要職を務め、決断力と不屈の精神を証明した。サッチャーは教育科学相として名を上げたが、学校での牛乳無償配給を廃止したため大衆紙に「ミルク泥棒」とそしられた。
メイは内相を6年間務めた。移民管理やテロ対策などを担当する難しいポストである。メイの性格はトレードマークのハイヒールにちなんで「digging her heels in(一度決めたら譲らない)」と表現され、サッチャーのハンドバッグをもじった「handbagging(猛烈に攻撃する)」と同じくらい知られるようになった。
サッチャーは仲間をつくるタイプだったが、メイには一匹狼のようなところがある。政界特有のドロドロした部分には近寄らず、議会で内輪のグループをつくることもない。
サッチャーとメイはどちらも改革者として世に出た。保守党がケインズ派の経済政策にしがみついているときに、サッチャーは新自由主義経済を提唱した。
一方、メイはサッチャーの遺産のマイナス面にいち早く気付き、「感じの悪い党」というイメージを払拭するために「思いやりのある保守主義」を取るべきと訴えた。そのため、保守党に女性議員を増やす努力もした。