「ジカ熱懸念」で五輪を辞退するゴルファーたちの欺瞞
Paul Childs-REUTERS
<男子トッププロが相次いでリオ五輪への不参加を表明。賞金が出ない五輪を面倒くさがるスター選手が、「ジカ熱」への懸念を理由にするのは欺瞞でしかない>(写真はリオ五輪よりテレビ観戦を選んだローリー・マキロイ)
メジャー通算4勝のローリー・マキロイはリオデジャネイロ五輪に出ない。五輪はテレビで観戦する。「ゴルフ競技を見るかどうかは分からないが、陸上や競泳は大事だから見逃せないね」と最近の記者会見で語っている。
112年ぶりにゴルフが五輪の正式種目に復帰したというのに、男子プロツアーの一流どころは続々と参加辞退を表明している。現時点の世界ランキング上位4人(ジェイソン・デイ、ダスティン・ジョンソン、ジョーダン・スピース、そしてマキロイ)は全員、リオでの熱戦より自宅での休養を選んだ。なぜか。北アイルランド出身のマキロイが今回の発言でほのめかしたように、要は「五輪になんか出たくない」からだ。
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ちなみにマキロイは今年6月、「ジカウイルスへの感染リスクは低いとされているが、それでもリスクであることに変わりはない。そんなリスクを、自分は取りたくない」と述べていた。他のトッププロも、同様にジカウイルスを媒介する蚊に責任をなすり付けるような発言をしている。例えばデイは「もしもジカウイルスに感染すれば、いずれ妻が妊娠したとき、生まれてくる子にリスクが及ぶ可能性がある」と語っていた。
「名誉も賞金もないのに」
「くだらない」――同じく出場を辞退したビジェイ・シンの発言以上に選手たちの本音を言い当てた言葉はないだろう。スポーツ専門ケーブルテレビ局ESPNの記者ジェイソン・ソベルは、ジカ熱が「プロゴルファーにとって格好の免罪符になっている」と指摘している。
既に一財産を築いているスター選手たちが五輪を敬遠する理由は山ほどある。そもそもトップゴルファーは五輪でメダルを取ることなど夢見ていない。ゴルフを五輪種目に復帰させたかったのは、選手たちではない。ゴルフの統括団体だ。
ゴルファーは名誉と賞金を獲得できる試合に出場することで忙しい(五輪で賞金は出ない)。それにゴルファーの選手寿命は長いから、今年の五輪にこだわる理由もない。