日中首脳会談と鳩山元首相の中国支持表明――米元国防長官も
16日における中国時間午後7時の全国一斉に報道される「新聞聯播」では、いつもはまず党内序列ナンバー1の習近平国家主席に関する報道から始めるというのに、この日は最初が李克強首相に関する報道だった。もっとも、いきなり李克強というわけにもいかないのか、「チャイナ・セブン」(中共中央政治局常務委員会委員7人)には関係ない「長江計画」に関する話題をぶつけてきて、その後に延々と李克強の「勢いのある勇ましい顔」だけを映しまくったのである。15日に行われたロシアのメドベージェフ首相や日本の安倍首相との会談およびドイツのメルケル首相との会談などが報道されたが、安倍首相との時だけは絶対に笑顔を見せず、「中国が日本側を叱責している」という形でのカットをつなぎ合わせて報道した。
年齢的にまだ若い李克強首相の「国字顔」(国という字に似ている漢民族の特徴的な顔)がテレビの画面に大写しになりっぱなしで、習近平の姿が一度も「新聞聯播」のテレビ画面に出なかったという、前代未聞の扱いだった。
それほどまでに、中国がいかに必死で巻き返しを試みようとしているかが伺える。
鳩山元首相の南海問題に関する中国支持表明
そのような中、日本の鳩山元首相が、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の顧問としての役割を担う国際諮問委員会の委員に就任しただけでなく、なんと、南シナ海に対する仲裁裁判所の判決を不当として、中国とフィリピンの両国間で話し合うべきだとする談話を発表した。7月16日の新華社電を中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」電子版・環球網が17日朝、伝えた。
それによれば鳩山氏は新華社の記者に対して、「南シナ海問題は対話と協力によって解決すべきで、外部の圧力によって中国とフィリピンに仲裁裁判所の判決を受け入れよと要求すべきではない」と言明したという。
しかも16日、鳩山氏は北京で開催された第5回世界平和フォーラムで講演し、同様のことを繰り返して強調し、北京を喜ばせた。
たしかに彼は今では一個人かもしれないが、それでも元民主党の党首として総理大臣を務めた経験を持つ人間だ。そのような経歴のある者が、このように徹底して中国の肩を持つ言動を繰り返せば、中国にとってこれほど利用価値のある存在はいないほどありがたい。
AIIBで利用するだけでなく、 南シナ海問題に関する国際司法判決における中国の全面敗訴という大打撃を緩和させるために利用している、中国のその魂胆が分からないのだろうか?