トランプ、共和党議員の謀反の動きを一喝
David Becker-REUTERS
<フロリダ銃乱射で「そら見たことか」とムスリム差別へ勢いづくトランプだが、その勢いと反比例するように、共和党内や民主党からのトランプ批判も強まっている。共和党の反トランプ派は、7月の党大会で謀反を起こす?>
共和党の大統領候補指名を確実にしたドナルド・トランプが相変わらずの大言壮語と暴言を吐き続けるなか、反トランプ派の共和党議員は彼が党の顔になる事態を何とか阻止しようと躍起になっている。
「トランプ以外なら誰でもいい」キャンペーン
先月の「#neverTrunp(#ネバートランプ、トランプはダメ)」キャンペーンは、11月の大統領選本選でトランプに勝てる独立系の対立候補を探す運動だったが、今度は夏の党大会に主戦場を移している。党大会のルールを変えて、トランプに投票する義務から代議員を解放しようというのだ。「これは文字通り『トランプ以外なら誰でもいい』キャンペーンだ」と、コロラド州の共和党代議員、ケンダル・アンルーはワシントン・ポスト紙に語っている。
反トランプ派が必死になるのも無理はない。当のトランプは、フロリダ州オーランドで49人が犠牲になった12日の銃乱射テロの後、「イスラム過激派のテロリズムについて正しかった」と言ってくれる支持者に「祝福してくれて感謝している」とツイートしたり、、自らの詐欺まがい商法に対する訴訟でトランプに不利な判断を下した判事に「メキシコ系だから公正な判断は期待できない」と差別発言をするなどして、いったんはトランプ支持でほぼ固まった党内からもたまらず批判の声が上がった。
【参考記事】銃乱射に便乗するトランプはテロリストの思うつぼ
「私には大きな支持があり、誰よりも多くの聴衆を集めている。大きな支持は、私の言うことが違法でも何でもないだけでなく、私に反感を抱く多くの人への戒めだ」と、トランプは声明で言った。「予備選で私に完敗した人々は、もう一度チャンスを得るためには何だってする。残念ながらセカンドチャンスを得られる仕組みにはなっていないがね」
【参考記事】選挙戦最大のピンチに追い込まれたトランプ
ラスベガスで開いた選挙集会で、トランプは党内の批判は「でっち上げ」だとまで言った。「信じてくれ。ここにいるメディアの連中がすべてをでっち上げているんだ。わかったかい。何度でも言う、すべてはウソ、ウソ、でっち上げだ」
ライバル民主党の批判も鋭さを増し、トランプの支持率はますます下がっている。最新の世論調査ではヒラリー・クリントン前国務長官は全米でトランプを5.8ポイントリードしている。クリントンの副大統領候補とも噂されるエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党、マサチューセッツ州)のような進歩派の指導者は事あるごとにトランプを叩く。
「日々彼について学ぶほどに、ただの矮小で精神不安定な金の亡者だということが明らかにってくる。彼に興味があるのは自分だけ。彼は恥知らずの人種差別主義者で女性差別の弱い者いじめだということが日々、明らかになる」と、ウォーレンはニューハンプシャー州で開かれた民主党大会で言った。「彼がアメリカの大統領になる日はこないことも、日に日にはっきりしてくる」