銃乱射はテロか憎悪か、思い当たり過ぎるフロリダの闇
マイアミの元公選弁護人ジョシュ・クーリーは、今回の事件はフロリダに渦巻く怒りが表出したものだという。自分の人生に嫌気がさし絶望し、誰かにその責任を転嫁したくてたまらない人々同士がいがみ合っている。フロリダは人種と階層間の緊張に満ちている。そして社会的・経済的に底辺に追いやられる人々の数は毎日増え続けていると、クーリーは本誌に語る。
「フロリダは人々が疎外感を覚えやすい場所だ。社会の隅に追いやられ、怒りを増幅させている。宗教的な過激思想に染まり、アルコールと同性愛は不適切だと考えて疑わない者にとって、フロリダは格好の攻撃対象だろう。貧しく、社会から締め出され、生きる希望もないときに、ふと通りを見渡せばゲイたちが1本500ドルもする酒を飲みながら踊っているのだから」
「同性愛者は死刑」
弁護士でゲイのジョン・ブルノ・ドリスは、2013年にオーランド近郊のサンフォードにあるフサイニ・イスラムセンターで行われた集会で、同性愛者を罰するのは愛の行為だという説教を聞いたことがあるという。イラン系のファルーク・セカレシュファー博士なる人物が、イスラム法の下では同性愛者は死刑になると事実と異なる主張を展開し、次のように述べた。「人を肉体的な死に至らしめるのは残酷な行為に見えるが、(同性愛者については)人類の愛の証だ。さあ、慈しみの心をもって彼らを一掃しよう」
だがオーランドの都市部は、総じて寛容な場所だ。オーランドで育ったというキューバ系アメリカ人のダマリス・デル・バレは、本誌の取材に対し次のように語った。「ディズニー・ワールドができて以来、オーランドはゲイのメッカになった。ディズニーが毎年6月にゲイのためのイベントを開いてきたから」
ゲイのマット・ジャービスは、1年ほど前にアラバマ州からオーランドへ移住した。アラバマ州では暗黙のホモフォビア(同性愛者嫌悪)を感じたと言う。それに対してオーランドはゲイやトランスジェンダーにとって「溶け込みやすい」土地柄で、日曜の銃撃事件があるまでは安心しきっていたという。だが今、その安心感は消え去った。
「心がかき乱され、普通にしていても身の危険を感じる。ディズニーランドに行くのももう避けるべきなんだろうか」