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東シナ海

尖閣接続水域進入は中露連携なのか?――中国政府関係者を直撃取材

2016年6月13日(月)16時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

今年3月、中国の王毅外相(左)とロシアのラブロフ外相 Maxim Shemetov-REUTERS

 8日から9日にかけての中露海軍艦艇による尖閣諸島接続水域進入には中露連携はあったのか?中国のメディアは「日本は中露が連携したとは、どうしても認めたがらない」と報道。そこで中国政府関係者を直撃取材した。

中国メディアの報道

 日本の防衛省によると、6月8日午後9時50分ごろ、ロシア海軍の駆逐艦など3隻が尖閣諸島の久場島と大正島の間を南から北に向かって航行しているのを海上自衛隊の護衛艦が確認し、9日午前0時50分ごろ、中国海軍のフリゲート艦1隻が沖縄 県の尖閣諸島の久場島の北東で、日本の領海のすぐ外側にある接続水域に入ったのを確認したとのこと。

 これに関して、日本のおおかたのメディアは、ロシアの艦艇3隻は通常の「軍艦に関する無害航行」であり、これまでにもあったことから大きな問題ではないとする一方、中国の軍艦が尖閣諸島周辺の接続水域に入ったのは初めてで、これまでの中国国家海警局の巡視船による進入とは違うと警戒しているというものが多い。

 日本政府の見解も、おおむねこの範囲内にあり、ロシアに対しては外交ルートを通した注意喚起に留めたのに対し、中国に関しては真夜中の2時に程永華・中国大使を呼びつけて激しい抗議をしたようだ。尖閣諸島の領有権は日本にあるので、自国の領土だと主張する中国に対して厳しく処するのは良いことだ。

 ただ、これら一連の動きに対して、中国のメディアは異口同音に「日本は中露が連携したとは、どうしても認めたがらない」とか「認めてしまうと日本が中露連携によって孤立化させられていることを認めざるを得ないからだ」と書き立てている。

実際はどうなのか?――中国政府関係者を直撃取材

 少しでも実態に近づきたいと思い、中国政府関係者に連絡し、単独取材した。

「中国のメディアは、"日本が認めたがらない"という言葉を仲介して、まるで中露連携があったように書き立てているが、中国が実際にどのような行動に出たのかに関しては書いていない。実際はどうなのか」という旨の質問をぶつけてみた。

 すると、以下のような回答が戻ってきた。

 ●現象を見れば、説明するまでもないだろう。一目瞭然ではないか。中国がなぜ、手の内を明かさなければならないのか?

 ●そもそも中国とロシアの間には「中露戦略合作(協力)パートナーシップ」がある。戦略的に何も話し合わないと考えるのは、むしろ奇妙なことだ。

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