マレーシア、南シナ海めぐり対中国戦略を見直しへ
昨年9月、中国・マレーシア両国の外交関係に緊張が走った。マレー系住民によるデモに先立って駐マレーシア中国大使が首都クアラルンプールにあるチャイナタウンを訪れ、「中国系住民の権利に影響するような行動に対しては、中国政府は遠慮なく批判させてもらう」と警告したのである。
大使は召喚され、発言について説明を求められたが、中国外務省は大使を擁護している。
マレーシアは、監視・防衛能力を強化する一方で、2002年に中国とASEAN諸国のあいだで調印された行動規範の履行を推進するなど、経済と安全保障のバランスを模索しつつ、さまざまな戦略を進めている。
さらに注意を要する選択肢としては、米国との軍事提携の強化がある。
ある政府高官はロイターに対し、「マレーシアは、中国政府を刺激しないようひそかにではあるが、情報収集に関する支援と沿岸警備能力の強化に向けて米国に打診を行っている」と話した。
前出のストーリー氏は、中国に対して強引な領有権の主張を控えるよう説得を試みるソフト外交と合わせて、米国との軍事提携の強化を確保する動きがあるかもしれないが、それでも問題解決は困難だろうと話す。
「こうした戦略のどれも、大きな成功を収めているわけではない。だが他に何ができるだろうか」とストーリー氏は言う。「この領有権をめぐる争いは非常に長引くだろう」
(Joseph Sipalan記者、翻訳:エァクレーレン)