アメリカでのISIS関連事件、主流は「一匹狼」よりチームタイプ
6月14日、フロリダ銃乱射事件は、オマル・マティーン容疑者の単独犯行とされている。それが本当であれば、過激派組織「イスラム国」支持者の関与が疑われる米国の事件においては、例外的なケースだろう。写真はフロリダ州オーランドで犠牲者の写真を前に祈りをささげる男性(2016年 ロイター/Jim Young)
米フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブ「パルス」で49人が殺害された銃乱射事件は、オマル・マティーン容疑者の単独犯行とされている。それが本当であれば、過激派組織「イスラム国(IS)」支持者の関与が疑われる米国の事件においては、例外的なケースだろう。
12日に発生した米国史上最悪の乱射事件を機に、当局者からは「ローンウルフ(一匹狼)」型の攻撃に対する警告が改めて発せられている。それは通常、ネット上の暴力的なプロパガンダを通じて過激化し、犯行計画を練る孤独な個人といったイメージを喚起する。
だが、2014年以来、米司法省が起訴したIS関連の事件約90件をロイターが検証したところ、起訴された者の4分の3は、2人から10人以上の共犯者で構成される集団に属しており、直接顔を合わせて犯行計画を練っていたとされている。
裁判記録によれば、直接の会合が行われていない事件でも、被告はほぼ必ず、ショートメッセージや電子メール、交流サイトなどを介して他のISシンパと接触していた。完全な単独犯行の容疑で起訴されている例は10件に満たない。
過激主義の問題やテロ対策の専門家によれば、「一匹狼」というイメージは、個人が似たような考えを持つ人々との直接の交流、いわば「狼の巣」を通じて過激化していく例がどの程度あるのかを見えにくくしてしまうという。
「ネット上でのやり取りに注目するあまり、我々は非常に人間的なつながりが生まれていることを見逃している」とフォーダム大学(ニューヨーク)の国家安全保障センターを運営するカレン・グリーンバーグ氏は指摘する。
米当局は13日、犯行中にISへの忠誠を表明していたマティーン容疑者が何らかの支援を得ていたかどうかを調査したが、関係者は、他に実行犯はいなかったと考えていると強調している。