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銃乱射事件

LGBTはイスラム過激派の新たな標的か

2016年6月14日(火)17時52分
モリー・オトゥール、ダン・デ・ルーチェ

 怒りの要因はたくさんある。性的指向にまつわるヘイトクライムは、アメリカでは日常茶飯事だ。しかし今回のような大規模な攻撃は初めてで、国外のテロ組織やそのプロパガンダとの直接的なつながりもなかった。ただし、1990年にニューヨークのグリニッジビレッジにあるゲイバーで爆弾が爆発して3人が負傷した事件は、最終的にはイスラム過激派の疑いがある人物の犯行だとされている。

憎悪犯罪の18%が対LGBT

 FBIによる最新の統計によると、2014年に全米全体で発生したヘイトクライムは1017件。同性愛者のアメリカ人に対するものはそのうちの18%以上を占め、約2%がゲイバーあるいはナイトクラブで起きたという。

 6月12日にオーランドで起きた悲劇を受けて、事実上の大統領候補であるドナルド・トランプとヒラリー・クリントンは著しく異なった反応を見せた。2016年米大統領選挙の様相を浮き彫りにしたかたちだ。クリントンはこの事件を、テロでありヘイトクライムであると強調。一方のトランプは当初、LGBTコミュニティーについては何も触れず、イスラム教徒を排除すべきだという自分の主張が正しかったことを「祝う」言葉がツイッターフォロワーたちから寄せられたことに礼を述べた。

 オーランド選出のフロリダ州上院議員であるダレン・ソトは先週末、「街は怒りに満ちている」と語った。「われわれ市民の多くが目を覚まして愕然とした。この幸福に満ちた小さな町が、アメリカ史上最大の銃乱射事件の現場になってしまったのだ」

「オーランドには、誇り高い同性愛者たちの大きなコミュニティーがある。オーランドの文化にとって欠かせない一部だ。彼らが国際的なテロ攻撃の可能性がある事件の標的となったことに、動揺と怒りを禁じえない」

From Foreign Policy Magazine

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