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コンプライアンス三菱自、不正の代償は総額650億円 燃費改ざん軽1台10万円補償へ
6月17日、三菱自動車は燃費データを改ざんした軽自動車4車種の顧客に対し、おわびと燃費悪化に伴うガソリン代の差額分、車検時の税額増を勘案して1台当たり一律10万円を支払う方針を明らかにした。写真は都内で4月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
三菱自動車<7211.T>は17日、燃費データを改ざんした軽自動車4車種の顧客に対し、おわびと燃費悪化に伴うガソリン代の差額分、車検時の税額増を勘案して1台当たり一律10万円を支払う方針を明らかにした。エコカー減税での税率変更に伴う追加納税分は別途、負担する。
軽以外で改ざんが判明した5車種の顧客には同3万円支払う。
同社は顧客への補償費用として2017年3月期に特別損失約500億円を計上すると発表。16年3月期決算ですでに引き当てた約150億円と合わせ、総額は約650億円に上る見込み。
補償の対象車両は不正公表後4月21日時点の登録情報に基づき、軽4車種は「eKワゴン」「eKスペース」と日産自動車<7201.T>向けの「デイズ」「デイズルークス」の計62万5000台。軽以外の5車種はスポーツ用多目的車(SUV)の「パジェロ」と「RVR」と「アウトランダー」の旧型車、中型セダン「ギャランフォルティス(スポーツバック含む)」、小型車「コルト(コルトプラス含む)」の計10万台。
益子修会長は同日会見し、補償額10万円について「社内試験の結果をベースに若干の余裕をみて仮計算したもの」と説明。燃費の悪化幅や使用環境などにより個々の顧客で影響額は異なるが、「10万円ならば、ほとんどすべてのお客様の負担増をカバーできる」といい、「分かりやすさなどを総合的に考えて一律でのお支払いにした」と述べた。また、補償額は日産と「十分に意見交換した結果」で、不正内容やこの件での特損が日産との資本提携に「障害にはならないことを確認している」と話した。
一方、軽4車種が実際の燃費値との差が大きいのに対し、軽以外の5車種は「届け出燃費値をクリアしていた」といい、海外向け車両は「定められた方法で測定しており、走行抵抗に改ざんがないことを確認済みだ」と語った。
同社は記録の残っている過去10年間に販売・終了した全20車種で何らかの不正があったことや開発担当常務執行役員らが役員報酬を自主返納することも公表した。責任度合いに応じて3ー6カ月間、月額報酬の10―20%を減額する。益子会長はすでに7月から全額返上することを公表済み。軽4車種の生産には国土交通省による燃費値が必要で、中尾龍吾副社長は「6月中には公表していただけるのではと考えている」として早ければ7月にも再開したい意向を示した。
(白木真紀 編集:吉瀬邦彦)