シャドーバンキングへの依存強める中国の斜陽産業
もっとも伝統的な銀行としては、エコノミストが唱えるような経済成長持続のためのより効率的な信用供与を実現するためには、実情に即した信用リスクを融資に反映させなければならない。そしてこうした状況が実際にある程度起こりつつあるようなのだ。
人民銀行の統計によると、経済的により富裕な地域では第1・四半期も銀行借り入れはおおむね容易で、商業銀行の融資は過去最高水準を記録した。富裕地域の中で、第1・四半期に借入額全体に対する影の銀行のシェアが増えたのは上海だけだった。
対照的に湖北省、山西省、吉林省、安徽省、河南省、四川省、山東省においては、影の銀行からの融資が第1・四半期に240─249%増加。中国全体での増加率の30%を大きく上回った。
当局の変化
14年に当局が影の銀行への規制に乗り出した際には、社債のデフォルトを慎重な態度で容認し始めたが、その多くは結果的に救済を受けた。
しかし今年の場合はもっと事態は深刻だ。これまでに確認されただけでもデフォルトは20件超と未曾有のペースで、特に過剰生産問題を抱える産業では多くの企業が25年ぶりの低成長のもたらす痛みを感じている。
それでも政策担当者は、自力での存続が難しい「ゾンビ」SOEへの厳しいコメントを相次いで発し、かつてと態度は一変した。このため4月に入ると社債が急激に売り込まれ、信用スプレッドは2012年以降で最も拡大した。投資家が個別の発行体ごとのリスクを織り込み始めたからだ。
先の上海の資産運用会社ディレクターは「4月全体で見ると、ゾンビSOEへの政府の行動とメッセージは非常に整合的でわかりやすかった」と指摘した。
4月20日には人民銀行が金融機関に、石炭・鉄鋼企業の「合理的な」資金調達ニーズは支えるべきだが、ずっと赤字を垂れ流して競争力を失っている企業からの融資は「断固として圧縮し、引き揚げる」よう促した。
(Nathaniel Taplin記者)