原爆投下を正当化するのは、どんなアメリカ人なのか?
原爆投下直後の広島の惨状 Shigeo Hayashi/Hiroshima Peace Memorial Museum-REUTERS
<アメリカでは広島・長崎への原爆投下について、いまだに「正当化される」と考える人が多い。しかし世論調査の詳細を見ると、そう考えているのは65歳以上の白人男性、共和党支持者に多く、若年層の回答を見ればアメリカの世論が変化していることがわかる>
伊勢志摩サミットで来日するアメリカのオバマ大統領が今週27日、現職大統領としては初めて被爆地広島を訪問することになった。核兵器廃絶へ向けた歴史的一歩として歓迎する声は日本の内外であがっている。その一方で、オバマは謝罪しないと言っているのに、日米の様々な立場の人たちが謝罪すべき、謝罪すべきではないと議論している。
原爆投下の正当性に関する日米両国民の世論については、アメリカの調査機関であるピュー・リサーチ・センターが2015年1~2月に日米で同時に行った意識調査が、これまでにもたびたび参照されてきた。ここでもう一度、そのデータを検証してみたい。
日本人で原爆投下が「正当化される」と回答した人は14%と少数派なのに対して、アメリカ人では56%と半数を越えていた。もっとも、「正当化される」と回答したアメリカ人の割合は減ってきていると見られている。正当だったとするアメリカ人の割合は、1945年のギャラップ社調査で85%、デトロイト・フリー・プレス紙の91年の調査では63%だった。15年のピュー・リサーチ・センターの調査後に、さらにこの割合は低下しているのではないだろうか。
この調査の報告書では、データをグラフにしていたのは全体結果だけで、日本の報道機関が伝えたのもここまでだ。ところが、結果報告書の地の文には属性別の結果が記されている。貴重なデータなので、今回の記事ではグラフにそれも表記した。
男性より女性、高齢者より若者、共和党より民主党、白人よりそれ以外で「正当化される」という回答が少なくなっている。特に高齢者(65歳以上)では70%なのに対して若者(18~29歳)で47%と年齢で大きな差があることが印象的だ。原爆投下の意思決定について、意識として当事者に近い者であればあるほど、あれは正しかったと考えているのだろう。年齢以外の属性についても同じ見方が可能だ。