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マイクロロボット空飛ぶ昆虫ロボット。疲れたら一休み。
昆虫ロボット ハーバード大学の研究チームが、天井に止まって、エネルギー消費を抑える「RoboBees」を開発。
物流やセキュリティ、軍事などあらゆる分野でドローンの活用が検討され始めている。航空機からラジコン機サイズまで、ドローンの大きさは様々だが、ハーバード大学 Kevin Ma博士らの研究チームが開発している小型ドローン=マイクロロボットは100mgを切る昆虫サイズで、その名も「RoboBees」という。
2013年、Kevin Ma博士はハエ型ロボットを発表して注目を集めた。ハエロボットの羽根はカーボンファイバーの骨格で補強されたポリエステルの膜でできており、電圧をかけると変形する圧電素子によって、毎秒120回羽を羽ばたくことができた。
だが、昆虫サイズのマイクロロボットを実用化する上で最大の課題はバッテリー。現在のところ、こうしたマイクロロボットを飛行させるには外部から電線を通じて電力を供給する必要がある。今後バッテリーが大容量化したり、周りを飛び交う電波などから電力を取り出す技術(エネルギーハーベスティングという)が進歩したりするとは予想されているが、マイクロロボットに搭載できる重量は限られているし、エネルギーハーベスティングで取り出せる電力も多くはない。マイクロロボットのエネルギー消費自体を減らす工夫も必要になってくる。
空飛ぶ生き物はどうやって、エネルギー消費を抑えているのか?
極めてシンプルな回答は、飛び続けずにどこかに留まって休むことだ。研究チームは、RoboBeesにこの機能を取り込もうと考えた。
とはいうものの、かぎ爪や粘着質の素材を使うと、いったんどこかに留まったあと、再び飛び立つためには複雑なメカニズムがいる。磁石だと留まれる場所が限定される。
研究チームが選んだのは、静電気だった。プラスチックの下敷きで髪の毛をこすり、下敷きを持ち上げると髪の毛が逆立つという、あれだ。
RoboBeesの上部には、電極とボリウレタンのフォームで構成される13.4mgほどのメカが装備されている。これに通電することで、ほとんどの物質の表面にぴたりとくっつくことができる。通電を止めれば、表面から離れられる。ものの表面に留まるためにも電力は必要だが、飛び続けている場合に比べると1,000分の1で済むという。
現在のRoboBeesは、留まるためのメカが上部についているため、天井に張り付くことしかできないが、研究チームはメカニカルデザインを改良して、さまざまな場所に留まれるようにする予定だ。
バッテリーやエネルギーハーベスティング技術が進化するにはまだ数年はかかるだろうが、虫のようなマイクロロボットやドローンが私たちの周りを飛び回るようになるのはそう遠い未来ではないかもしれない。願わくば、その用途が多くの人の幸せにつながるものであってほしいが。