最新記事

G7

仙台G7会議は為替動向の認識触れず、米の円安けん制鮮明に

米財務省高官は会議後も円安進行にクギを刺す発言

2016年5月21日(土)11時29分

5月20日、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、為替での米国による円安けん制スタンスが鮮明になった。写真は100ドル札と1万円札。2013年2月撮影。(2016年 ロイター/Shohei Miyano)

 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は20日、世界経済をテーマとする初日の討議を終えた。焦点の為替では、「過度の変動や無秩序な動きは好ましくない」との認識で一致したものの、会議終了後に米財務省高官は円相場について「秩序だった状況」とあらためて指摘し、為替での米国による円安けん制スタンスが鮮明になった。21日の日米財務相会談の動向に一段と注目が集まりそうだ。

 議長を務める麻生太郎財務相は、会議での為替議論に関し「過度な変動や無秩序な動きは経済に悪影響を与えるので、為替レートの安定は極めて重要だ」と発言。さらに20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で合意されている「通貨の競争的な切り下げ回避」に日本は「コミットしている」ことにも言及した。

 もっとも、年初来の円高進行など最近の為替動向に関して「特に大きな話は出なかった」という。足元ではドル/円が110円台と円安に振れたこともあり、麻生財務相から円高をけん制する発言は出なかった。

 だが、仙台市を訪れている米財務省高官は、円相場に関し「引き続き秩序だった状況」と述べるなど、会議後も米側の円安けん制姿勢は継続。

 日本の為替が秩序立った動きと指摘しただけでなく、「震災のような危機後の無秩序な動きと市場の変動は区別する必要がある」「金融政策のみに依存するのは不十分」「貿易で利するための措置は、世界経済システムを阻害」となどと相次いで発言。日本を名指しこそしなかったものの、円安進行にはクギを刺した格好だ。

 こうした米国の姿勢を踏まえ、21日の日米財務相会談ではどのような議論が展開されるのか。その結果によっては、週明け23日の外為市場にも影響が出そうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国国防相、汚職調査の対象に 3代連続=FT

ビジネス

英自動車業界、EV販売義務化で2024年の負担は7

ワールド

日米経済関係、事案ごとに総合的に判断し適切対応=林

ワールド

新興国市場、25年は厳しい状況 米中の不確実性で=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 7
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 8
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中