新興国市場、25年は厳しい状況 米中の不確実性で=JPモルガン
11月27日、JPモルガンは2025年の見通しで、米国の政策転換と中国の不透明な成長見通しにより新興国市場が厳しく不確実な年を迎えると予想した。写真はニューヨークで9月撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)
Libby George
[ロンドン 26日 ロイター] - JPモルガンは2025年の見通しで、米国の政策転換と中国の不透明な成長見通しにより新興国市場が厳しく不確実な年を迎えると予想した。新興国の債券ファンドから大規模な資金流出が見込まれるという。
26日付のリポートで「新興国の成長は25年に中国と米国という大国に挟まれ、大きな不確実性に直面している。米国の政策変更は、新興国全体に波及する大きな負の供給ショックをもたらす可能性がある」と指摘した。
基本シナリオでは途上国全体の成長率が今年の4.1%から25年は3.4%に鈍化すると予想。中国を除く新興国市場では、成長率は3.4%から3.0%に減速する見通しだという。
トランプ次期大統領と共和党主導の議会が、関税政策、地政学的変化、国内政策によるドル高と金利上昇という債券市場に「厳しい逆風」をもたらし、25年に新興国債券ファンドから50─150億ドルの資金が流出すると予想している。
アナリストは「米国の政策が新興国市場のセンチメントに与える影響が制約になる可能性は高いが、FRB(米連邦準備理事会)の金融緩和が遅れたことによる影響がそれを幾分相殺する」とコメントした。
債券市場に関しては25年のハードカレンシー建てソブリン債発行額は24年をわずかに下回る1690億ドルと予想している。一方、償却費の増加により純資金調達額は今年の552億ドルに対し25年は13億ドルにとどまるとみている。
ハードカレンシー建てソブリン債の利回りは24年の6.9%に対し、25年は4.3%に低下すると予想した。