最新記事
SDGsパートナー

「環境配慮型プリント」で印刷文化を未来につなぐ研文社の使命...エネルギー使用量を作業単位で明確化

2024年11月27日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
CO2排出量および削減量を明示した研文社の印刷物

CO2排出量および削減量を明示した研文社の印刷物

<製造業でCO2排出量を減らすには、作業プロセスで使用するエネルギーを見直し、省力化を目指していく必要がある。環境負荷が高いとされる印刷業界において、研文社は脱炭素経営に積極的に取り組んでいる>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


作業単位でエネルギー使用量を明確化

印刷業は森林伐採につながる紙を多く使用することや、製造工程でCO2を排出することから、環境に負荷をかける産業として認知されている。その軽減は業界にとって喫緊の課題となっているが、実際に積極的な取り組みを推進している企業は一部にとどまっているのが現状だ。

研文社は、2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されるよりもずっと前、2002年から環境問題に向き合ってきた企業だ。様々な環境に配慮した取り組みを行い、2023年には同社尼崎工場が印刷産業環境優良工場表彰最高位の「経済産業大臣賞」を受賞している。

マーケティング課の川口学氏は、「当社は印刷会社であり、印刷物を製造する工程における環境負荷を低減させることは印刷業としての責務だと考えています」と話す。

newsweekjp20241125104702-3bb997bc62ee4ae073d6df409669c3c436d6a9a8.jpg

2022年末には、環境に配慮した印刷の普及を図ることで持続可能な社会の実現を目指す「日本サステナブル印刷協会」の発足メンバーとして参画。翌2023年からは印刷業界への環境配慮型プリントの拡大に注力してきた。

具体的にはCO2排出量の削減を目指し、「省エネ/創エネ」に向けた活動も開始した。同社の工場はすべて再生可能エネルギーを利用し、CO2排出量実質ゼロで稼働している。そうしたカーボンゼロ工場で刷られた印刷物を「環境配慮型プリント」とし、案件ごとにCO2削減値を算出してデータシートを顧客に提供している。認知や実績も増え続け、今では航空会社や銀行の印刷物でも採用されている。

その仕組みについて、川口氏は次のように説明する。

「製造業として環境負荷を低減させるためには、まず作業単位でのエネルギー使用量を明確にして現状を把握する必要があります。それをもとに省力化/自動化を進め、使用エネルギーを削減していくことを目指しています。さらに、廃棄物のリサイクルや環境配慮型資材の使用といった施策も推進しています」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航

ワールド

ゼレンスキー氏は「私が承認するまで何もできない」=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 9
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中