蔡英文新総統はどう出るか?――米中の圧力と台湾の民意
したがって環球網(環球時報の電子版)が4月25日に上海社会科学院と共同で「台湾新政権の台独問題に関するアンケート」(23問)を行なったことに対して、中国政府は一部削除することにより世論が過熱するのを抑えたくらいだ。なぜなら結果はすぐに出て、「台湾が独立するなら、すぐに武力を使って台湾を統一せよ(大陸に併合せよ)」という意見が圧倒的多数を占めたからだ。
さあ、どう出る、蔡英文新総統?
米中双方から挟み撃ちされている蔡英文氏は、世界中が見守る中、5月20日の総統就任演説で何を言うのか?
中国の脅迫にしたがって「九二コンセンサス」を認め、「一つの中国」という言葉を発するだろうか?
そのようなことをしたら、彼女が選挙中に呼びかけた言葉を否定することになり、彼女を選んだ選挙民たちを裏切ることになる。だから、それは絶対にしないだろう。民進党の党規約にも違反する。
そこで考えられる唯一の選択は、「九二会談があったことは認める」ということと、「現状維持」を主張することだろうと思われる。それ以外に道はない。この話題に全く触れないという選択もあろうが、それではパンチがない。
追い詰められた蔡英文氏は「私は台湾の民意によって選ばれた。だから私は民意に従う」と表明した。
賢明だ!
実に彼女らしい。
台湾の民意調査
では台湾の民意はどうなっているだろうか?
今年、5月13日に発表された「台湾民心動態調査(TMBS、Taiwan Mood Barometer Survey)」の調査結果を見てみよう。調査を行なったのは5月10日~11日である。
その問いの中に「中共政府は蔡英文が520(5月20日)総統就任演説で、必ず九二コンセンサスと両岸は一つの中国に属することを言えと要求している。あなたは、蔡英文新総統がこの要求を受け入れるべきだと思いますか?」という、実にストレートな問いがある。
まずはその回答を見てみよう。
1. 受け入れるべきだ:6.5%
2. まあ、受け入れてもいい:17.2%
3. あまり受け入れるべきではない:20.1%
4. 絶対に受け入れるべきではない:31.6%
5. わからない&未回答:24.6%
となっている。「1+2」を大きく分けて「受け入れるべき」とすれば、「受け入れるべき:23.7%」となり、「3+4」を「受け入れるべきではない」と分類すれば、「受け入れるべきではない:51.7%」となる。