最新記事
自動車国交省が三菱自本社に立ち入り検査、社員が子会社に不正指示か
本社が子会社に対し燃費データ改ざんを指示、組織的な不正への関与の疑いも
5月13日、三菱自動車の燃費不正問題で、国土交通省は、道路運送車両法に基づき詳しい実態やいきさつを解明するため、同社本社(東京都港区)への立ち入り検査を実施した。社内の資料収集や関係者から事情聴取も行う。同問題の発覚後、本社への立ち入りは初めて。写真は都内で4月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
三菱自動車<7211.T>の燃費不正問題で、国土交通省は13日、道路運送車両法に基づき、同社本社(東京都港区)への立ち入り検査を実施した。三菱自の本社が燃費データ測定を委託した子会社に対しデータ改ざんを指示していた疑いがあり、組織的な不正への関与があるかどうか詳しい実態を解明する。
三菱自は軽自動車4車種計62万5000台で、燃費を実際よりよく見せるためにタイヤと路面の摩擦などの大きさを示す「走行抵抗値」のデータを改ざんしていたことなどが判明している。
社内調査によると、データ測定を委託された子会社「三菱自動車エンジニアリング(MAE)」の社員が2013年にタイで燃費の測定試験を実施した際、燃費目標をクリアできなかったため、本社の社員に相談し了解を得たうえで都合の良い数値を取り出した。ただ、本社社員には、こうした数値の選び方は不正行為に当たらないとの認識があったという。
この問題で国交省は三菱自に対し、11日までに調査結果をまとめて報告するよう指示。しかし、報告内容が不十分で全容解明にはほど遠かったため、本社への立ち入りが必要と判断した。
三菱自はまた、1991年から国の規定とは異なる方法で走行抵抗値を算出していたことも明らかになっている。軽4車種以外でも現在販売中の9車種や販売を終了した車種でもデータ改ざんなどの不正があった可能性があるが、11日の報告で詳細に説明されなかった。同社は18日に再び報告を行う予定。
同問題の発覚後、本社への立ち入りは初めてで、社内の資料収集や関係者から事情聴取も行う。国交省は4月20日には同社の名古屋製作所(愛知県岡崎市)にも立ち入り検査している。
(白木真紀)