最新記事

自動車

国交省が三菱自本社に立ち入り検査、社員が子会社に不正指示か

本社が子会社に対し燃費データ改ざんを指示、組織的な不正への関与の疑いも

2016年5月13日(金)15時43分

5月13日、三菱自動車の燃費不正問題で、国土交通省は、道路運送車両法に基づき詳しい実態やいきさつを解明するため、同社本社(東京都港区)への立ち入り検査を実施した。社内の資料収集や関係者から事情聴取も行う。同問題の発覚後、本社への立ち入りは初めて。写真は都内で4月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 三菱自動車<7211.T>の燃費不正問題で、国土交通省は13日、道路運送車両法に基づき、同社本社(東京都港区)への立ち入り検査を実施した。三菱自の本社が燃費データ測定を委託した子会社に対しデータ改ざんを指示していた疑いがあり、組織的な不正への関与があるかどうか詳しい実態を解明する。

 三菱自は軽自動車4車種計62万5000台で、燃費を実際よりよく見せるためにタイヤと路面の摩擦などの大きさを示す「走行抵抗値」のデータを改ざんしていたことなどが判明している。

 社内調査によると、データ測定を委託された子会社「三菱自動車エンジニアリング(MAE)」の社員が2013年にタイで燃費の測定試験を実施した際、燃費目標をクリアできなかったため、本社の社員に相談し了解を得たうえで都合の良い数値を取り出した。ただ、本社社員には、こうした数値の選び方は不正行為に当たらないとの認識があったという。

 この問題で国交省は三菱自に対し、11日までに調査結果をまとめて報告するよう指示。しかし、報告内容が不十分で全容解明にはほど遠かったため、本社への立ち入りが必要と判断した。

 三菱自はまた、1991年から国の規定とは異なる方法で走行抵抗値を算出していたことも明らかになっている。軽4車種以外でも現在販売中の9車種や販売を終了した車種でもデータ改ざんなどの不正があった可能性があるが、11日の報告で詳細に説明されなかった。同社は18日に再び報告を行う予定。

 同問題の発覚後、本社への立ち入りは初めてで、社内の資料収集や関係者から事情聴取も行う。国交省は4月20日には同社の名古屋製作所(愛知県岡崎市)にも立ち入り検査している。

 (白木真紀)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長

ビジネス

ウニクレディト、BPM株買い付け28日に開始 Cア

ビジネス

インド製造業PMI、3月は8カ月ぶり高水準 新規受
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中