沖ノ鳥島問題で露呈した日本と中国の共通点
さらに馬は台湾の海岸巡防署に対して、沖ノ鳥島近海への漁業者のアクセスを守る措置を取るよう指示。これを受けて5月初め、海岸巡防署の巡視船と漁業署の船が沖ノ鳥島の周辺海域に向かい、EEZに進入した。この2隻を「支援する」ために海軍艦船も同海域に向かっており、日台の緊張は高まっている。
だが外交的解決の望みもあるかもしれない。台湾と日本は13年、両者(と中国)が領有権を主張する尖閣諸島(台湾名・釣魚台)周辺の漁場で、互いの漁業権を認める合意を交わしている。しかも沖ノ鳥島については、対立の原因は領有権ではなく、国際法上の分類だけだ。
【参考記事】南シナ海仲裁裁判に台湾が横やり、裁定遅延の恐れも
こうしたなか、中国がこの論争に口を挟んできた。
中国外務省の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は4月末、「国連海洋法条約(UNCLOS)の規定にあるとおり、人間の居住および経済的生活を維持することのできない沖ノ鳥礁のような岩は、EEZも大陸棚も有しない」とあらためて述べた。「それらの権利を主張するために沖ノ鳥礁を島と分類する日本の主張は、UNCLOSに違反している」
近隣諸国の抗議を受けても、「本土から遠く離れたところにある孤立した岩」の周辺にEEZを強く主張する――もしかしたらこれは、中国と日本がようやく見つけた共通点なのかもしれない。
From thediplomat.com
[2016年5月17日号掲載]