パナマ文書、本当の暴露はこれからだ
「捜査当局が生のパナマ文書を調べれば、数千件の事件に発展するだろう」と、情報源は言う。またリークの動機として、腐敗の蔓延と金持ちに有利なグローバル金融システムを挙げる。「所得格差は最も重要な課題だ」
タックスシェルターは合法的な租税回避策として頻繁に用いられる手段だ。確定拠出型年金401(k)も、積立金や運用益への課税を退職後まで繰り延べられるという意味ではタックスシェルターだ。だが、タックスシェルターで行われる金融取引は外から見えにくく、贈賄や金融犯罪、脱税などの違法行為の温床となりやすい一面もある。
収益の20%がタックスヘイブンから?
多くの銀行はグローバルな資産運用・管理を行っており、その業務の一環として、タックスシェルターを利用する場合もある。こうした業務は銀行にとって、四半期ごとに数億ドルもの手数料を生む大きな収益源だ。たとえばバンク・オブ・アメリカの年次報告書によると、昨年の総利益の20パーセント近くが、グローバル資産運用・管理部門からもたらされた。
グローバルなタックスシェルターを調査する非営利団体で、英国に本拠を置く「タックス・ジャスティス・ネットワーク」(TJN)は、オフショアの全私有財産の75パーセント近くは、世界トップ50のプライベートバンク、なかでも約20の富裕層向け金融機関に集中していると推定する。そしてその20行のそれぞれが、少なくとも1000億ドルの個人資産をオフショアで運用しているという。
TJNによると、2005~2010年のその顔ぶれは、UBS、クレディ・スイス、シティグループ、モルガン・スタンレー、ドイツ銀行、バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ(2009年にバンク・オブ・アメリカに救済合併され、現在はその資産管理部門)、JPモルガン・チェース、BNPパリバ、HSBC、ゴールドマン・サックス、ABNアムロ、ソシエテ・ジェネラル、バークレイズなどだという。彼らが管理する個人資産の総額は12.2兆ドルに達したが、額はその後も増えていると見られる、とTJNは述べる。