党大会を6日に控えた北朝鮮、実態は党よりも金が物を言う社会に
脱北者によると、北朝鮮ではかつては党員であることが良い仕事と身分を得るカギになっていた。
ヒエラルキーの中で誰もが望む地位を得るためには、元指導者の故・金正日氏や故・金日成氏の像の周囲を掃除したり、革命を記念する場所や史跡で献花をしたりして忠誠心をみせることが必要とされている。
上層部の一部の者にとっては、党員であることが大金持ちになることへの1つのルートになっている可能性がある。旧ソ連式の統制経済を今も公式に支持する朝鮮労働党は、社会への統制を失うことを恐れて、市場を許容し始めている。
「経済尺度での上部には、政治的なコネクションを使って資源にアクセスができ、最も金を稼ぐことができる党の関係者がいる」。北朝鮮経済を専門とする、オランダのライデン大学の研究者のクリストファー・グリーン氏はそう語る。
しかし、大多数の人々にとっては、プライベートビジネスにいそしむことの方が、党の出世階段をのぼっていくことよりも重要だ。
北朝鮮では労働党員に属する医師で、2014年にソウルに来た脱北者は、党が管理する病院の医師たちに給与が支払われておらず、患者の治療をすることで賄賂をもらっていたと証言した。
この脱北者の男性は、職務時間外に、中国から密輸した小さな電気製品や宝石類を取引することで収入を補っていたという。男性は匿名を条件に取材に応じた。
「病院ではシフト勤務なので、半分の医師が物を売るために外出し、残りの半分が患者の治療に当たっている」と男性は語った。
(Ju-min Park記者, James Pearson記者、翻訳:高橋浩祐、編集:下郡美紀)