党大会を6日に控えた北朝鮮、実態は党よりも金が物を言う社会に
党員の中には、党員カードを失うことを恐れて、金のかなづちと鎌、党の絵筆のモチーフで彩られた深紅色のポーチの中に、党員カードを保管する者もいる。
ロイターが入手した1つのポーチは、隠されたガンホルスターのように身に付けられるようデザインされていた。それは、着用者の心臓の上の近くに党員カードが来るよう、胸部にわたって伸縮性のあるバンドで引っ張られていた。
党員は毎週水曜日、仕事後に講義に参加するよう義務付けられている、と2001年に脱北するまで朝鮮労働党に属し、今も同国内の複数の人物と定期的な接触を持つソ・ジェピョンさんは語る。
来週の党大会に向け人々を動員するキャンペーンが行われるなか、講義は金正恩体制の下でより厳しく統制されるようになったと同氏は話す。金正恩氏は「先民」政治の実現を約束するため、昨年の党創建70周年を利用している。
かつては定期的な行事だった党大会が最後に開催されたのは1980年だった。
平壌ウオッチャーの中には、今回の党大会で、父親の金正日氏が裏ルートの駆け引きによって統治してきた国を、若き指導者の金正恩氏がより「普通」の国に変えようとする兆しだとみる者もいる。北朝鮮では正式な党のプロセスが深く根付いている。
しかし、脱北者や学者によると、党員であることの重要性は、1990年代の大飢饉の頃からなくなってきている。この時の飢饉は、ボトムアップ式で非公式な市場のネットワークへの道を切り開いた。多くの北朝鮮の人にとっては、国家に代わるものとなっている。
「かつては労働党員であるかないかの違いは、人間として扱ってくれるかどうかの違いだった」。現在ソウルで他の脱北者と働くソさんはそう説明する。「党員であることの誇りは弱まっている。人々は今、金についてしか考えていない」
金と権力
北朝鮮の労働党員についてのデータは手に入れることができない。しかし、人口約2500万人のうち、約300─400万人が党員だと推定されている。