クルーズは「嫌われ者」を卒業できるか
しかもクルーズは、それなりに賢い選挙戦を展開している。トランプだけでなく、民主党のヒラリー・クリントンも彼を警戒すべきだろう。異端のバーニー・サンダースをいまだに倒せずにいるのは、彼女に何らかの弱点がある証拠だ(それでも本選で民主党候補が有利なのは否定できない)。
家族総出のイメージ作戦
クルーズを甘く見てはいけない。4年前にはテキサス州選出上院議員候補を決める共和党の予備選で、党主流派の推す現職副知事デービッド・デューハーストに競り勝った。当時、「最大の番狂わせ」と呼ばれた勝利である。今回の予備選でも居並ぶ保守派のライバルを蹴落としてレースに踏みとどまり、いよいよトランプとの一対一の勝負に持ち込んでみせた。
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自分の好感度に問題があることも、クルーズは承知している。自分は「一緒にビールを飲みたくなる人間」ではないだろうが、「酔ったあなたを自宅へ送り届けてあげられる人間」ではあると言ったこともある。なかなか気の利いた言い方だ。
美形の妻ハイディや5歳と7歳の娘を連れて選挙運動を行っているのも、マイナスにはならないはずだ。先日もCNNの番組に家族で出演し、歌手のテイラー・スウィフトや、ぬいぐるみ作りパーティーの話で盛り上がっていた。素晴らしい。しかし、こうした家族総出のイメージ作戦も、一つ間違えば台無しになる。
そのCNNの番組で、クルーズは司会のアンダーソン・クーパーに下品な話をしてしまった。最高裁での研修中に、業務上の必要があって女性判事サンドラ・デー・オコーナーと一緒に「ハードなポルノ」を見たという話だ。別に悪い話ではない。しかし自分の娘の前で話すには不適切な話題だった。
それでもクルーズは選挙に強く、それなりのスキルもあり、民主党にとっては侮り難い共和党候補になれそうだ。もしも彼が共和党予備選で過半数(1237人)の代議員を獲得できれば、本選挙でも過半数(270人)の選挙人を獲得できるかもしれない。