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中台関係

ケニアで拘束された台湾人、中国へ強制連行の恐怖

2016年4月21日(木)16時00分
J・マイケル・コール

 中国外務省は、今回の措置はケニア政府が「1つの中国」の原則を堅持してくれている証拠だとして、ケニアの判断を高く評価した。

【参考記事】「アフリカ人お断り」中華料理店の言い訳

 今回の事例によって、台湾人が外国で容疑者となった場合、適正な法手続きを受けられる保証はどこにもないことがはっきりした。しかも、中国政府と親密な関係を築いている外国の政権は増えている。中国の国家安全法が適用されれば、台湾の外で台湾人が中国との「分離独立」を唱えるだけでも犯罪になり得る。

 台湾人が中国に強制移送される飛行機に乗せられたのとまさに同じ日に、ケニアは財政赤字の支援として中国から新たに6億ドルの融資を受けることを発表した。偶然にしては出来過ぎた話だろう。

 11年には、フィリピンで投資詐欺の容疑で拘束された台湾人14人が中国へ移送されるという事件もあった。南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンでさえ、こうした措置を取り得る。台湾人のパスポートが効力を発揮する国は少なくなっているのかもしれない。

From thediplomat.com

[2016年4月26日号掲載]

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