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中国経済中国の資本流出ペースが鈍化、今年は前年比マイナス20%の5380億ドルに
世界の大手民間金融機関が参加するIIFが「中国当局が人民元に対する懸念を和らげた」と評価
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4月25日、国際金融協会(IIF)は、中国から今年流出する資本額は5380億ドルになると見通した。写真は米ドルと人民元の紙幣。北京で1月撮影(2016年 ロイター/Jason Lee)
国際金融協会(IIF)は25日、中国から今年流出する資本額は5380億ドルになると見通した。昨年の資本流出額は6740億ドルだったため、流出ペースは鈍化する。
現時点で流出ペースは鈍化している。3月の流出額は350億ドル程度、年初来以降の総額は約1750億ドルだが、今年下期の予想ペースを大きく下回っている。
IIFは、中国当局が人民元の方向性に対する懸念を和らげ、前進がみられたと評価した。
ただ、人民元が無秩序的に下落する事態への不安が再燃すれば、中国からの資金流出ペースが再び加速する可能性があると指摘した。
IIFは最新の報告で「人民元の急激な下落が、中国との貿易関係が密接な国々など、他の新興国市場国も、競争的(通貨)引き下げを行う事態につながる恐れもある」と警告する。
外貨準備にも懸念が広がる。外貨準備がどの水準を下回れば、中国当局が懸念を持つようになるのかが分かっていない。
外貨準備は、2014年6月の4兆ドルから今年2月の3兆2000億ドル前後に減少した。大半の国と比べると、なお高水準だ。
一方、国際通貨基金(IMF)が開発した別の算出方法を用いると、実際の準備高と必要となる可能性がある水準の間に存在する、緩衝の厚さは約2年前の50%から15%に縮小している。
IIFは「この観点でいえば、多額の資本が流出する事態が続く場合、資本規制を厳しく強化しなければ、国の公的準備が不十分とみなされる水準にまで縮小する恐れもある」と指摘した。
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