安倍政権の経済対策、消費刺激策と成長戦略の2本柱の公算
伊勢志摩サミットで世界経済への貢献を旗印に歳出増にカジを切り替える可能性も
3月29日、2016年度予算が成立し、政府は足元で弱さが見える消費動向を視野に、経済対策の具体的な検討に入る。短期的な消費刺激策と、中長期的な視点に立った成長戦略で構成された政策パッケージを打ち出す見通し。写真は都内のビル、16日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)
2016年度予算が成立し、政府は足元で弱さが見える消費動向を視野に、経済対策の具体的な検討に入る。短期的な消費刺激策と、中長期的な視点に立った成長戦略で構成された政策パッケージを打ち出す見通し。
5月末の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)では、各国と財政出動に関して議論し、世界経済への貢献を旗印に歳出増にカジを切り替える可能性も出てきた。
増税判断、カギ握る消費動向
「消費増税をする、しないの条件など政府にはない。経済が今、どういう状況なのかが問題だ。マスコミもきちんと説明してほしい」とある政府関係者は述べる。この関係者も含めた複数の政府関係者は消費停滞の動向が、消費増税判断のカギを握るとしている。
23日の月例経済報告では、消費の弱さを主因に景気判断が5カ月ぶりに下方修正された。翌日の経済財政諮問会議では消費喚起策が必要だとして、民間議員らから踏み込んだパッケージが示された。
安倍晋三首相が開催した「国際金融経済分析会合」では、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授(プリンストン大名誉教授)が、同会合後に記者団に対し「2─3年は収支を気にせず財政出動すべき」と表明。消費喚起策には、海外の学識経験者からもお墨付きを得た形だ。
経済対策は短期・長期の組み合わせで
政府・与党内で議論されていた景気対策について、政府関係者の1人は「インフラ整備も含む短期的な景気刺激策と、成長戦略を強化する中長期的対策のパッケージ型になりそうだ」としている。
諮問会議で民間議員らが示した政策パッケージには、従来からの政策の焼き直しも含めて、様々な政策が網羅されている。