中国、アメリカに踊らされたか?――制裁決議とTHAAD配備との駆け引き
退路のないジレンマに追い込まれ
それだけ中国は北朝鮮に手を焼いており、いざとなったら中国自ら北朝鮮に戦いを挑み、1979年の中越戦争のように中朝戦争を起こして北朝鮮をおとなしくさせた方がましだと覚悟していたくらいだという、退路のないジレンマが中国にはある証拠だろう。
何度も触れるが、中国では年1回の全人代(全国人民代表大会、日本の国会に類似した立法機関)が3月5日から北京で開催される。
そのために非常に厳しい言論統制を行なっているところだ。
全世界から外国人記者が集まり国際社会の注目を浴びる。
その前に対北朝鮮制裁問題に関して国際社会から非難を浴びないようにしておきたいという焦りが、中国側にはあっただろう。
その焦りが、いつもは戦略的な中国を、アメリカの「策」にはまらせてしまったのではないかと、筆者には見えてならないのである。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。