中国、ジブチに海外初の海軍基地建設で異例の「友好アピール」
軍事機密をあえて情報公開することで国際社会の懸念払拭を狙う
3月24日、中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。写真はマルタで歓迎を受ける中国海軍のフリゲート艦。2013年3月撮影(2016年 ロイター/Darrin Zammit Lupi)
中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。
このようなメッセージは、南シナ海において重要な海上貿易路の領有権を主張し、アジア近隣国や米国の怒りを買う、同国の好戦的な態度とは全く対照的だ。
中国は、海外基地などを通して軍事領域を拡大する米国型の「覇権」は追求しないと繰り返し主張している。
だが、実際には、まさにその通りの行動をとっているようにも見えるため、中国政府はジブチ基地の根拠について静かに説明し、国営メディアを通じて同国の意図を懸念する向きに対応している。
ジブチの基地について中国の当局者から話を聞いたという西側のある外交官は、「エチオピアの海洋進出を助けるための、『一路一帯』戦略の一環だと中国は説明している」と、中国のシルクロード構想に言及してこう述べた。
同構想の狙いの一つに、中国経済の押し上げや世界各国との結び付きに寄与するであろう大陸間の通商路を開拓することがある。
中国メディアによれば、総工費40億ドル(約4500億円)の鉄道建設は、エチオピアの首都アディスアベバとジブチにある中国が投資した新しい港をつなぐ。同港には軍事施設が置かれる予定だという。
中国からこの計画について話を聞いたという別の外交官は、普通なら隠したがる中国政府が同計画にある程度の透明性をもたらそうしているのは「異例」な動きだと指摘する。
「中国は脅威と見られたくないのだろう」と、この外交官は語る。
警戒するインド
この件に関し、ロイターは中国国防省から長い返答を書面で得た。それによると、「関係諸国や国際機関」にジブチについて意図することを伝えたとし、ジブチに置く施設の主な目的は、海賊対策や人道・平和維持活動のための補給であると改めて強調した。