ブラジルのルラ前大統領、入閣で地に墜ちた輝かしい過去の栄光
ブラジルの労働者層を調査するプラノCDEのマネジング・ディレクター、マウリシオ・プラド氏は、国民は物価上昇と汚職が関連していると考えていると指摘。「権力者が奪い、労働者がその代償を払っていると彼らは感じている」と述べた。
ルセフ氏の退陣を求める抗議活動の参加者の大部分は、景気低迷の影響を最も受けている人たちではない。世論調査会社Datafolhaによると、サンパウロでの反政府デモ参加者の63%は上流中産階級と富裕層で、労働党の中心的支持層とはされていない。
ブラジル議会は、政府会計の不正操作があったとしてルセフ大統領の弾劾手続きを進めている。裁判所は2014年の選挙キャンペーンでルセフ氏側に資金をめぐる不正があったとして調査している。
南部ポルト・アレグレに住む女性(45)は、労働党に票を投じることはもうないと話す。ルラ氏の大統領在任中は、自身と警備員の夫は車や住宅を購入できるだけの十分な収入があったが、現在では「食料品店に行けば半月分の給与がなくなってしまう」と嘆いた。
サンベルナルド・ド・カンポで不動産ブローカーとして勤務する男性(62)は、6カ月間売り上げのない状態が続いており、景気後退のせいだと話す。男性はルラ氏の復帰を批判し「ルラ氏は、長期にわたって『最も崇拝された大統領』との肩書きを手にする素晴らしい機会を失った。代わりに、国民を欺き、汚職に関与し、泥棒を世に放った大統領だと受け止められることになるだろう」と述べた。
(Marcelo Teixeira記者、Pedro Fonseca記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子)
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