トランプとの「お下劣舌戦」で撃沈したルビオ
今月15日の予備選「天王山」を前に、トランプ対抗馬の共和党若手候補2人に赤信号が
ルビオが撃沈 トランプに仕掛けられた舌戦で致命的な失点を重ねたルビオ Jim Young-REUTERS
この今週8日に行われた予備選・党員集会は、民主党が2州、共和党でも4州だけしかない。今月1日の「スーパーチューズデー」そして、「クルーシャルチューズデー(正念場の火曜日)」と言われる来週15日と比べると、地味な位置付けだ。だが、前週の「スーパーチューズデー」後に情勢が変化しつつある中、日を追うごとにこの「3月8日」の意味合いも重要になっていた。
まず民主党だが、ミシシッピ州ではヒラリー・クリントンが大差を付けて、一方のミシガン州では僅差でバーニー・サンダースが勝利した。だが、今回までの予備選は「代議員数配分方式」であり、2位でも代議員数の獲得は可能。そして南部の黒人票に強いヒラリー、格差に敏感な州でのサンダースという「得意分野」を反映した結果に「サプライズ」はなかった。結果として、依然としてヒラリーの優位は動いていない。メール問題でFBIがさらに強い姿勢に出るようなことさえなければ、代議員数で過半数を取る可能性は高い。
ちなみに、この間には、中道派のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が「無所属での出馬を断念」したと伝えられている。自分が出て中道票が割れると、「トランプやクルーズを勝たせる可能性をむしろ高める」からという説明だが、要するに「民主党はヒラリーで決まりそう」だから「本選もヒラリーでいい」という判断と見るのが妥当だろう。
問題は共和党だ。
共和党の場合、来週15日の「クルーシャルチューズデー」、とりわけフロリダ州(代議員数99)とオハイオ州(同66)が「天王山」と言われている。何よりも、この両州以降、多くの州で予備選のルールが「勝者総取り」に変わることがあり、またこの両州の代議員数合計165という数字が、過半数ライン、アメリカのメディアの言う「マジックナンバー」の1237に到達する上で、非常に重要な意味を持つからだ。
同時に、フロリダ州はマルコ・ルビオ候補(上院議員)の地盤であり、オハイオ州はジョン・ケーシック候補(同州の現役知事)の地盤である。この2つの州で、それぞれの「地元のヒーロー」を押しのけて、トランプが勝利し、合計で165の代議員を獲得すると、「マジックナンバー」への到達が「見えてくる」というのだ。
反対に、この両州を落とすと、トランプは「1位だが過半数は取れない」状態のままで、7月18日にスタートする共和党大会(オハイオ州クリーブランで開催)に「なだれ込む」ことになる。過半数の勝者が出なければ、そこで噂されている代議員による「談合(フロア・ファイト)」が可能となるのだ。