震災から5年、失われた子どもを捜し続ける人びと
2016年3月8日(火)09時49分
最近のとある週末、木村さんと、上野さん率いる十数人のボランティアは、汐凪ちゃんの手掛かりを求め、吹きさらしの大熊海岸に積み上げられた瓦礫(がれき)をくまなく探した。同区域は年間30回まで立ち入りが許されており、1度の滞在時間は最大5時間と決められている。
木村さんたちが、流木やコンクリートの塊、電柱や曲がった鉄パイプ、さまざまなサイズや色の衣服が混ざった泥まみれの山を掘り返すと、線量計が鳴り響いた。線量計は一時、毎時6マイクロシーベルトを示していた。この数値は、都心の放射線レベルの100倍に当たる水準だ。
それでも木村さんの決意は揺るがない。
「もちろん見つけるまで続ける」
木村さんは他の行方不明者の捜索も続けるという。
このような不撓(ふとう)の精神は、アジアに広く見られる死生観で一部説明できると、専門家は指摘する。
「欧米では、遺体は1つの物質という考えで扱われることが多いが、アジアでは遺体には霊魂が付随し、切り離されないと見られているところが強い」と、福島県立医科大学会津医療センター特任教授の丹羽真一氏は語った。
(竹中清記者 花井亨記者、翻訳:伊藤紀子 編集:下郡美紀)
[大熊町(福島) 4日 ロイター]
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