X JAPANの壮絶な過去と再生の物語
独自のスタイル リーダーのYOSHIKI PASSION PICTURES
スティーブンには、僕たちの歴史はダークで悲しいけど前向きな作品にしてほしいと頼んだ。
キジャク でもそれは「マジソンスクエア・ガーデンでライブをやったんだぜ!」とか華やかに成功した姿で伝えるものではない。これは再生と生還の物語なんだ。
ファンたちの熱狂ぶりを見ていると、彼らはX JAPANの音楽に救済されているようだ。傷ついた人々が、彼らの音楽に流れる痛みに自分たちの傷痕を見ている。陳腐な言い方かもしれないが、本当に人々を救っていると思う。
──まったく陳腐なんかじゃない。私もデビッド・ボウイに救われた。
YOSHIKI 彼は僕が海外へ進出した理由でもある。彼にインタビューしたことがあって、「素顔の自分とステージ上の自分の境界線はどこに引いているのか?」と質問した。彼は答えられなかった。
──最初からマジソンスクエア・ガーデン公演を軸に制作する計画だった?
キジャク 1つの要素にすぎなかったが、編集段階でそうなった。撮影準備期間がほとんどなく、撮影に入ってからいろいろなアイデアが生まれてきた。
ステージの裏でも、YOSHIKIやほかのメンバーの秘話や美しい世界がたくさんあった。
YOSHIKIは絶対にうまくやれない、リハーサルは絶対に間に合わないと思う瞬間もあったが、最後には完璧なライブを見せる。それもドラマだった。
──映画監督のデービッド・リンチが少し映っていて驚いた。
キジャク そうなんだ。リンチはX JAPANのシングル「Longing~途切れたmelody~」のCMスポットを演出したことがある。YOSHIKIはいつも誰かに舞台裏を撮らせていたから、偶然映っていたみたいだ。
そういう映像を何気なく見ていたときに発見して驚いた。リンチがメガホンを持って、全裸で砂浜に立っているYOSHIKIに叫んでいた。結局その映像を映画に使った。
YOSHIKI ソニーと契約していたとき、彼らは僕が来週か明日にも死ぬかもしれないと思っていた。だから僕がすることは全部撮っておけと言って、そのときから舞台裏を撮影するようになった。
──映画に入れたかったけど入れられなかったものはある?
キジャク PATAが2語以上しゃべってくれてたらと思うよ(笑)。何もしゃべらないメンバーがいるから。
YOSHIKI みんなバンドの打ち合わせのときにも話さない! 僕が90%ぐらいしゃべって、ToshIも少し口を開いて。だから映画で見られるのは本当にありのままの僕ら。演技なしの自然な姿だ。