中国訪韓、対北朝鮮制裁に賛同の用意あり──THAADの配備は牽制
さらに韓国にTHAADを配備するということは、事実上、中国をその射程内に入れることになる。したがって、これは対北朝鮮のための防衛ではなく、対中国を射程に置いているというのが中国の見解だ。
11日にミュンヘンで中韓外相が会談し、同じ見解を王毅外相は述べているのに、ここで敢えて、2年8か月ぶりの中韓外交部門ハイレベル戦略対話開催を口実に張業遂を訪韓させたのは、来週からTHAAD配備に関する本格的な交渉が米韓間で始まるからもあろうが、もっと別の微妙な理由もあるのではないだろうか。
THAADの韓国配備は中朝を軍事的に近づける――中国が警戒
THAADを韓国に配備すれば、中韓関係は必ず悪化する。
それを最高に喜ぶのは誰だろうか?
日本ではない。北朝鮮だ。
中韓関係は昨年末の日韓外相会談(慰安婦問題)で最悪になった。それでも中国は中韓関係が悪化することによって、日米や北朝鮮を利することを嫌がっているのだ。だから北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射してからは、日韓外相会談への不満(恨み?)など言っていられず、2月5日に習近平国家主席は朴槿恵大統領と電話会談をした。
だというのに、韓国がTHAAD配備を受け容れたりすれば、習近平政権になってから、あんなにまでして築いてきた中韓蜜月は、完全に終止符を打つ。
それはすなわち、中朝軍事同盟を強化させる方向に動いてしまい、中国にとっては最悪のシナリオだ。
万一にも北朝鮮がさらに暴走し、アメリカと軍事的衝突を起こした場合には、中国は中朝軍事同盟があるために北朝鮮側に立たなければならない。中国の軍事力が現状でアメリカの軍事力に勝てるはずがない。中国は必ず負ける。となれば中国共産党による一党支配体制は、必ず崩壊するのだ。
こんなシナリオを、中国が許すはずがない。
韓国内にもTHAAD配備反対派が
実は韓国内にもTHAAD配備を反対している者がいるし、お金もかかるし、韓国内でだって諸問題があると、中国政府関係者は漏らした。
中国語だと翻訳しなければならないので、たとえば日本語の画像で見て頂くと、「THAADの韓国配備に反対」というのがある。そこには
――米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備が取り沙汰される中、市民団体がソウル市内で韓国への配備反対を訴えた。北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイル発射などを受けて、韓国政府は米国とTHAADの 在韓米軍配備について協議することを決めたが、中国は米軍のレーダーが自国軍の監視に利用される恐れがあるなどとして強く反対している=17日、ソウル (聯合ニュース)
と書いてある。