広告ブロック技術のShineはネット業界の「核兵器」
ここ数年、広告ブロック技術はネット業界の注目の的だった。広告収入に依存するオンラインメディアに大打撃を与え得るテクノロジーだからだ。ワイアードやワシントン・ポストなど多くのメディアで、広告ブロック使用に関する警告が表示されたり、ウェブサイトの記事を読み始める前に広告ブロックを強制的に遮断する対策が導入されたりしている。
一方、多くのユーザーにとって、オンライン広告は災難でしかない。2012年にアドビ社が発表したオンライン広告に関する調査報告によれば、68%の消費者がオンライン広告を「邪魔」だと感じているという。
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MWCのトークセッションに話を戻せば、激しい応酬にもかかわらず、Shineのカーシーとグーグルのファースには共通認識があることも明らかになった。オンライン広告がウェブページの容量を増大させ、ページの表示に時間がかかる原因になっていることに、双方とも同意したのだ。
だからこそ、フェイスブックは昨年10月、「インスタント・アーティクルズ」を導入したのである。パートナーメディアの記事を、そのメディアサイトへのリンクを貼るのではなく、最後までフェイスブック上でユーザーに読ませる仕組みであり、ニュースフィード上に素早く表示されるのが特徴だ。同社は先週、関心があればどのメディアにもインスタント・アーティクルズを開放すると発表した。
グーグルも同様で、モバイルにおける表示時間を短縮させるためにオープンソースのツールを公表すると、ファースがトークセッションで発表した。「変に聞こえるかもしれないが、ある1点においてはカーシーと意見が一致する」と、ファース。「業界も広告主もパブリッシャー(サイト運営者)も、これまでは速度の問題に甘すぎたと思う」