最新記事

日本経済

円高で「爆買い」景気は後退? インバウンド関連株が減速

2016年2月17日(水)17時16分

 象印マホービン<7965.T>は、免税モデルの炊飯ジャーの販売数量について、12月と1月の直近2カ月累計で前年比25%程度の減少となった。

 同社は減少の背景として「訪日外国人観光客の旅行の目的が変わりつつあり、購買対象も(より安価な)日用品などにシフトしている」(広報部)と分析している。

 時計製造・販売の国内大手、セイコーホールディングス<8050.T>の中村吉伸社長は、9日の決算会見でインバウンド関連消費について、昨年夏ごろの爆発的な伸びは収まった印象があるとの見方を示した。

 ある国内証券のアナリストによると、中国人の部下が今回の春節で帰省した際、日本国内のマツモトキヨシに陳列されていた人気商品が、地元で当たり前のように販売されていたと聞かされた。「日本旅行のリピーターは温泉旅行など新たな体験などを求めるが、モノの消費に関しては、やはり伸びが小さくなっていきそうだ」という。

外国人観光客は増加中

 もっとも、外需関連株との相対感では、依然有望との見方もある。中国人観光客による「爆買い」の最大のトリガーは、日本政府によるビザ発給要件の緩和。中国の景気減速懸念が広がった昨年8月以降も、日本国内への中国人観光客は増加基調を続けている。

 日本政府観光局が発表した今年1月の訪日外客数は、前年比52.0%増の185万2000人。単月としては昨年7月の191万8000人に次ぐ過去2番目の水準だった。特に中国からは前年比2.1倍の47万5000人と、大きな伸びを示している。

 SMBC日興証券・チーフエコノミストの牧野潤一氏の試算では、元に対し1円(5.6%)円高になると、中国人のインバウンド消費は年率6.8%(590億円)押し下げられるという。

 15年の訪日外国人の旅行消費額は、全国籍・地域ベースで3兆4771億円(観光庁の統計)。このうち中国は1兆4174億円と4割を占める。単純計算すれば、昨年8月からの円高分(約2.7円)は1600億円弱の影響にとどまる。

 足元では対人民元で円高が進んでいるが、2012年11月半ばのいわゆるアベノミクス相場開始以来で比較すれば、依然35%程度の円安水準だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領、防空強化の必要性訴え ロ新型中距

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中