プーチンが築く「暴君の劇場」
2016年2月8日(月)17時50分
「いずれの場合も、ロシア政府を実際より強く見せるだけにとどまらず、実際より残忍で、予測不可能で、常軌を逸しているように見せることが肝心だ。そうすることで、立ち向かうよりも従うほうが無難だと思わせる」と、ガレオッティは書いている。「この作戦は非常にうまく機能している」
とはいえ、社会不安の芽を完全に摘み取りたければ、経済を再び繁栄させる以外にない。原油相場が落ち込んでいる状況では、競争力を高めない限りロシア経済の繁栄はないが、競争力を高めるためには、公正な司法制度を機能させ、官僚機構や治安機関が民間経済を食い物にするのを阻止しなくてはならない。しかしそれは、プーチンが築いてきた略奪的政治体制の土台を突き崩すことを意味する。
結局、プーチンは基本的に、抑圧と愛国という2つの手段に頼らざるを得ない。今までは、それが成功してきた。問題は、冷蔵庫の中身が空っぽになっても、ロシア国民がテレビを信じ続けるかどうかだ。
[2016年1月26日号掲載]
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